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美術批評家のエッセイ集から建築家の頭の中まで。10月号新着ブックリスト(1)

雑誌『美術手帖』の「BOOK」コーナーでは、新着のアート&カルチャー本の中から毎月、注目の図録やエッセイ、写真集など、様々な書籍を紹介。彫刻から建築、エッセイ集まで、『美術手帖』10月号に掲載された注目の新刊を3冊ずつ2回にわたり紹介する。

評=中島水緒(美術批評)+近藤亮介(美術家)

左から『感性は感動しない』『彫刻SCULPTURE1』『Akihisa HIRATA Discovering New─平田晃久建築作品集』

『感性は感動しない』

つねに未踏の領域を切り開いてきた著者による、書き下ろしを中心とする初のエッセイ集。絵画作品を様々な考えや感情の「かたまり」としてとらえる鑑賞法、読むことと書くことのあいだを架橋する読書術、Twitterやスマートフォンを使う際の作法、生地・秩父への思いや子供が生まれてからの生活の変化まで。著者の血肉となってきたあらゆる事象を精妙な文体で語り尽くす。美術の道を志す後進にとっても指針となるような思考のヒントが詰まっている。 (中島)

『感性は感動しない』
椹木野衣=著
世界思想社|1700円+税

 

『彫刻SCULPTURE1』

明治期、日本の近代を装飾する技 術として導入された西洋起源の「彫刻(スカルプチャー)」。以来、国威を発揚する軍人の「銅像」、平和を象徴する裸婦像、現代のアニメキャラクター像など、彫刻は様々なかたちで私たちの日常空間に溶け込んできた。だが、世界を見渡せば、各地でモニュメントやパブリック・アートをめぐる政治的衝突がいまも絶えない。「空白の時代」と呼ばれる1940年代前半を焦点に、この国で独自に展開してきた彫刻について思索する野心的な彫刻論集。(近藤)

『彫刻 SCULPTURE1』
小田原のどか=編著
トポフィル|2700円+税

 

『Akihisa HIRATA Discovering New─平田晃久建築作品集』

代官山の商業ビルSarugakuや、群馬県太田駅前に開館した太田市美術館・図書館などの設計で知られる建築家・平田晃久の作品集。つねに更新される有機体のなかに、はっきりした境界のない、ふわふわとした曖昧で立体的な領域〈からまりしろ〉を感じ取り、その建築化を目指してきた。新しい「かたち(Form)」「自然(Nature)」「出合い(Commitment)」の発見をキーワードに構成される本書は、建築をつくる行為を通じて〈からまりしろ〉が発展してきたプロセスを詳しく紹介する。(近藤)

『Akihisa HIRATA Discovering New─平田晃久建築作品集』
平田晃久=著
TOTO出版|4300円+税

『美術手帖』2018年10月号「BOOK」より)

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