紀元前4000年から世界中を魅了し、宗教や美術、化学など、人類の文化とともにその歴史を歩んできた「金」。この金のように人々を魅了する「なにか」を、作品を通して探る展覧会が開催される。
本展には、様々な背景を持つ3人の作家が参加。人物のポートレイトなどを描くイアン・グロースは、絵画のあり方を探求。世界から抽出したイメージと、それが絵画として存在する状態に向き合い、それぞれの現実のあいだにある矛盾と関係性を横断する。
マイア・クルス・パリレオは「移住」と「原郷」をテーマに、フィリピンからアメリカにたどり着いた作家の家族のなかで受け継がれてきた歴史や、両国間の歴史を扱う。ナラティブを記憶と想像で再構成した作品群には、事実と虚構があいまいになった世界を見ることができる。
そしてマッシニッサ・セルマニは、ドローイングや写真、アニメーションによるモンタージュを制作。新聞や雑誌、ソーシャルニュースの切り抜きを元にした作品は、シンプルでありながらユーモアや皮肉にあふれている。
異なる歴史、文脈を持つ作家が参加する本展。金の輝きを目にしたときのように心が弾む、非日常的でありながら身近な風景を見つけてみたい。