落合芳幾(1833〜1904)は、幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師の一人。ライバルの月岡芳年と競作した血みどろ絵《英明二十八衆句》や、明治の事件を報道した新聞綿絵など、浮世絵の歴史を語る上で欠かせない作品を数多く制作したが、その名はあまり広く知られていない。
芳幾は、歌川国芳の門人として、幕末には「戯画」「美人画」「武者絵」「役者絵」「横浜絵」など、様々なジャンルの浮世絵に着手。明治時代に入ると、東京日日新聞(現・毎日新聞)や、歌舞伎雑誌の創刊に参加するなど、浮世絵師の枠を飛び越えた幅広い活動を行った。
動物を擬人化したり、海外の絵画表現を積極的に取り入れていた師匠・歌川国芳の作風を受け継ぎ、奇抜なアイデアが光る作品も多数制作。影絵仕立て、あるいは写真仕立ての役者絵など芳幾のユーモアあふれる表現は鑑賞者を楽しませてくれるだろう。
「落合芳幾」展は、芳幾の知られざる画業の全貌を解き明かす世界初の展覧会となる。浮世絵ファンは、是非チェックしてみてはいかがだろうか。