浜田知明(はまだ・ちめい)は2017年12月に100歳を迎えた版画家・彫刻家。過酷な戦争経験を原点に、社会や人間そして自分自身をも鋭くユーモラスに風刺した作品で知られ、ウフィッツィ美術館(イタリア・フィレンツェ)で日本人として初めて個展が開催されるなど、国内のみならず世界的に高く評価されている。
本展では、寡作で知られる浜田の版画作品の半数以上である約90点と、彫刻作品4点を展示。一兵士として目にした戦場の哀しみを描く代表作「初年兵哀歌」シリーズや、再軍備に走る日本への風刺《よみがえる亡霊》(1956)といった戦争を主題とした作品から、70年代半ばから手がけているユーモラスな人間像をとらえた作品までを総覧する。
また、関野凖一郎、駒井哲郎、瑛九、浜口陽三、池田満寿夫らの作品もあわせて展示。当時まだ習得困難だった銅版画の手法を互いに教えあいながら、様々な実験を重ねて新しい表現を求めた50年代の作品を中心に紹介する。