INTERVIEW - 2024.7.1

マユンキキ インタビュー。私が作品をつくらなくてよい世界にするために(前編)

マユンキキ。「翻訳できない わたしの言葉」展(東京都現代美術館)の会場につくられた、マユンキキの自室を模した展示室にて

「翻訳できない わたしの言葉」展(東京都現代美術館)の展示風景より、マユンキキの展示室前に置かれたパスポートのコーナー

パスポートにはマユンキキと関係性を築くための質問として、「私はアイヌが日本の先住民族であることを知っている」など、観客自身の認識を尋ねる項目が並び、サイン欄がある。自分の回答を提出する必要はない

《Itak=as イタカㇱ》(2024)より、映像「言葉をめぐる対話 サジと」の展示風景。マユンキキと在日韓国人三世の写真家・金サジが、本来自身の第一言語になりえていたかもしれない言語を学ぶことについて語り合う

展示室に置かれた、マユンキキが愛着を持つ持ちものたち。展示品にはそれぞれ、マユンキキとそのものとの個人的な関係を記したキャプションが付されている。画面中央にある複数の熊のぬいぐるみが通称「クママツ」

クママツたちについてのキャプション。英語表記は自動翻訳による

マユンキキの展示室の風景。自室を模した「セーフスペース」としての空間に、作家にとって大切な様々なものが並ぶ。展示室のベッドの上には、会期中、マユンキキや彼女が信頼する友人らが滞在し、訪れた鑑賞者と言葉を交わす

第22回シドニー・ビエンナーレ「NIRIN」(シドニー現代美術館、2020)における、マユンキキと池田宏(写真)《SINUYE: Tattoos for Ainu Women》(2020)の展示風景 Photo by Zan Wimberley(⁑)(*6)

Ikon Gallery(バーミンガム)での個展「SIKNURE–Let me live」(2022)のオープニングで行われたMayunkiki & Surge Orchestraのパフォーマンス風景より Photo by Tegen Kimbley(⁑) Courtesy of Ikon Gallery

Photo by Tegen Kimbley(⁑) Courtesy of Ikon Gallery

「SINRIT シンリッ アイヌ女性のルーツを探る出発展」(CAI03、2021)に出品された、マユンキキの父、母、姉、義兄、幼なじみという彼女にとって身近な5人にインタビューした作品《SINRIT シンリッ》。「シンリッ」とはアイヌ語で植物の根や、祖先という意味を持つ。マユンキキと出会う前と後の人生、それぞれとの関係性や、マユンキキに何を望むかなどを質問していくことで、一人の人間像が浮かび上がる 写真提供=マユンキキ(⁑)

「SINRIT シンリッ アイヌ女性のルーツを探る出発展」(CAI03、2021)の展示風景より 撮影=マユンキキ(⁑)

「SINRIT シンリッ アイヌ女性のルーツを探る出発展」(CAI03、2021)の展示風景より 撮影=マユンキキ(⁑)

 

《Itak=as イタカㇱ》(2024)より、映像「言葉をめぐる対話 かのこと」の展示風景。マユンキキと、彼女の英語通訳兼コラボレーターとして活動する田村かのこが、英語という覇権的言語を意図的に選択/非選択することの意義や、「通訳」という立場で現場に関わりながら、自身の当事者性に向き合うことについて語り合う

 
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編集部