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安永正臣インタビュー。釉薬を用いた作品のモチーフは、大切なものを収める「うつわ」 

釉薬を焼成した立体作品を手がける安永正臣。2023年夏に銀座メゾンエルメス フォーラムで開催された「エマイユと身体」展でも強い印象を残した作家による新作展が、渋谷区神宮前のGallery 85.4で6月16日まで開催されている。個展会場でインタビューを行った。

文・撮影=中島良平

安永正臣

──通常の陶芸では、土で造形を行い、水や汚れからの保護や装飾を目的に塗り、焼成するものが釉薬です。その釉薬をメインの素材として焼き物を手がけるようになるまでの経緯を聞かせてください。

 焼きものを始めた当初は、手びねりやろくろを回して土で造形を行っていましたが、土で造形することよりも、焼成により変化が著しい釉薬への興味が強かったのです。当時は実験的な制作をしていましたが、そもそも釉薬は造形するための素材ではないのでかたちにならず、思うような結果が得られませんでした。本当に小さなステップを徐々に踏みながら、試行錯誤し、経験を積むことで釉薬で作品制作ができるようになりました。

展示風景より

──釉薬というのはガラス質の素材で、窯のなかで焼成されると溶け、温度が下がったときに固まるものですよね。釉薬で造形して、どのように焼成するのでしょうか?

 おっしゃる通り、焼成のときにかたちが溶けてしまうので、土のなかに埋めて焼成するのです。およそ1トンの土で埋めて焼成し、焼き上げたら、発掘するような作業をして作品を掘り出すイメージです。

展示風景より、手前は《Stone Vessel ⽯の器》(2024)

──ガラス質の釉薬と聞いて連想するような半透明のものや、石のようなものなど、作品によってテクスチュアは様々です。

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