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真鍋大度が語るクリプトアートの問題点と可能性。「CryptoArt Experiment」が目指すものとは?

ブロックチェーン技術を用い、唯一無二性を担保したデジタル・アート(クリプトアート、NFT)がマーケットで盛り上がりを見せるなか、ライゾマティクスがクリプトアートに特化したマーケットプレイス「CryptoArt Experiment」を立ち上げた。その背景にあるものとは何か? 真鍋大度に聞いた。

聞き手・文=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)

真鍋大度

──まずはクリプトアートのマーケットプレイス「CryptoArt Experiment」を立ち上げた背景からお聞かせください。

 去年の夏頃から僕の周辺でもクリプトアートが盛り上がりを見せていますが、そこには環境負荷の問題などもあります。いくつかあるマーケットプレイスに作品を出品するだけでは、実際にどのような問題があるかはわからない。そこでプラットフォームを自分たちでつくることで、作品のリリースのされ方やライセンスなどが検証できると考えたのが最初です。

──クリプトアートの問題点の筆頭に挙げられるのはやはり環境問題でしょうか?

 ビットコインのマイニングもそうでしたが、大量のサーバー(電力)を使うという点においては、環境保護の観点から問題があるのは確かです。メディア・アート界隈でもこれまでになく賛否が真っ二つに分かれるほどですから。

 ただ環境負荷の問題はAIを使った作品にも当てはまる。それに僕自身もプロジェクションを使ったり、飛行機に乗って移動したりと環境に負荷をかけていると言えます。なので「環境負荷」という点だけで問題点を議論すると、それはNFTの本質からずれてしまう。

 それだけではなく、既存のアートマーケットの仕組みが大きく変わる/変わりそうなところが問題でもあり、興味深いところでもあるのかなと思っています。例えば暗号資産(仮想通貨)には環境負荷に問題があるとされるPoW(プルーフ・オブ・ワーク)の仕組みを使った「イーサリアム(ETH)」だけではなく、テゾス(Tezos)やハーモニー(Harmony)など、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)の消費電力の少ない暗号資産(仮想通貨)もあります。しかし、Tezosを使った「hic et nunc」やHarmonyを使った「daVinci」などのマーケットプレイスを見ると売り手ばかりで買い手がいない。コレクターの多くはイーサリアム保有者なので、エコフレンドリーなマーケットプレイスが登場しても、環境問題の解決にはなかなかすぐには結びつかないんですね。

 ライゾマティクスの「CryptoArt Experiment」は大きなムーブメントを検証するという意味でも、コレクターの多いイーサリアムを使っていますが、いっぽうでエコな「Proof of Stake」の「Polygon(Matic Network)」に対応することで、差異を検証できるようにしています。

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