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INTERVIEW - 2018.1.5

「生きるとは何か」。奥山由之が語る“第2”のデビュー作『As the Call, So the Echo』

CMやミュージックビデオをはじめ、精力的に活動する写真家・奥山由之だが、ある時期から写真への興味を失ってしまったという。苦悩の日々を乗り越え発表した新作の写真集『As the Call, So the Echo』について、奥山に聞いた。

写真集『As the Call, So the Echo』より

写真集『As the Call, So the Echo』より

新作『As the Call, So the Echo』に込めた 人のつながりがつくる過去、現在、未来

 2011年のデビュー以後、精力的に作品を発表し続け、ファッションや商業写真の分野でも鮮烈な印象を与え、瞬く間にスター写真家に上り詰めた奥山由之。何事も真摯に取り組み、世間からの期待に鮮やかに応え続けてきたように見える奥山だが、人知れず苦悩した日々があったという。「16年に写真集『BACON ICE CREAM』を発表した頃までは、頭で考えながら写真を撮っていました。自分自身がこういう世界を見たいとか、こう撮っておくことでこういう見え方の写真になるだろうとか。ただ仕上がった写真そのものに対しては敢えて言葉を用意していなかった。だからこそ、だんだんと作品がひとり歩きしてしまった。自分が置いてきぼりになり、写真にも興味がなくなってしまった。朝起きて、掃除してスーパーに行くだけの日々が2ヶ月ほど続きました」。

奥山由之

 そんななか、友人一家が長野のある村に移住。休みがてら遊びにきたら、と誘いを受けた奥山は、引き寄せられるように長野に赴いた。「当時僕は人との関係を築くことができなくなっていたんです。でも長野に行ってみたら、友人の周りにたくさん村の人がいて、人と人の関係性が、美しい“球体”を描いていた。気付けば、ごく自然に写真を撮ることができていたんです」。

写真集『As the Call, So the Echo』より

 新作は、そのときの写真や、頭の中に蓄積する抽象的なイメージを写真に落とし込んだもので構成されている。それから村に通い撮影するうちに、写真への意識が変わったと話す。「写真を“撮る”のではなく、シャッターを“押す”という感覚に変化していました。それから、1枚1枚の写真によく目を凝らし、そこに潜んでいる真理を見つけるという作業をこの作品では何度も繰り返した。今作の場合だと“生きるとは何か”というキーワードが生まれてきて。そういうことがいままでできなかっただけにいますごく楽しくて。大きな変化を迎えていて、この作品はある意味で第2の僕のデビュー作とも言えると思います」。

写真集『As the Call, So the Echo』より

 (『美術手帖』2018年1月号「INFORMATION」より)