2017年はここに行く!
5つの注目芸術祭

年々その数を増す芸術祭や国際展(トリエンナーレ、ビエンナーレ)。2017年も数々の芸術祭が開催されるが、ここではそのなかから、編集部が選んだ特に注目したいものを5つに絞って会期順に紹介。ぜひ旅行の計画に役立ててほしい。

大岩オスカール 大岩島2 瀬戸内国際芸術祭2013 Photo:Oscar Oiwa Studio ※参考作品

北アルプス国際芸術祭2017 ~信濃大町 食とアートの廻廊~

目 おじさんの顔が空に浮かぶ日 宇都宮美術館 館外プロジェクト ※参考作品

「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」をはじめ、数々の芸術祭を手がけてきた北川フラムが、総合ディレクターとして新たに手がけるのが「北アルプス国際芸術祭」だ。同芸術祭は、3000メートル級の山々が連なる北アルプス山脈の麓に位置し、古くから塩の道千国街道の宿場町として栄えた長野県大町市を舞台に、土地固有の生活文化を表現する「食」と、地域の魅力を再発見する「アート」の力で、北アルプス山麓の地域資源を世界へ発信することを目指すというもの。2014年に「信濃大町 食とアートの廻廊」として開催されたものが、国際芸術祭へと発展を遂げたかたちだ。

作品・プロジェクト数は約30で、現時点では大岩オスカール、川俣正、目などの参加が決定。芸術祭で越後妻有地域を盛り立てた北川の手腕が試される。

北アルプス国際芸術祭2017 〜信濃大町 食とアートの廻廊〜

会期:2017年6月4日~7月30日

会場:長野県大町市全域

入館料:一般 2500円 / 高校生 1500円 / 小中学生 500円

http://shinano-omachi.jp/

ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス

イメージビジュアルは東京とニューヨークに拠点を置くクリエイティブ・ラボ、PARTY(川村真司・室市栄二)が担当

2001年に第1回が開催され、次回で6回目を迎える「ヨコハマトリエンナーレ」は、日本の芸術祭の先駆け的存在。前2回(2011、14年)はアーティスティック・ディレクターを設けてきた同トリエンナーレだが、今回はスプツニ子!やリクリット・ティラバーニャらを「構想会議」メンバーとして迎え、横浜美術館館長の逢坂恵理子や三木あき子ら3名が「ディレクターズ」として、キュレーションなど運営の全般に携わる。

今回、タイトルに冠された「島と星座とガラパゴス」は、「島」「星座」「ガラパゴス」という、孤立や接続性、想像力や指標、独自性や多様性など多角的な捉え方ができるキーワードによって構成。紛争や難民問題、英国のEU離脱などで大きく揺れる世界情勢と、SNSの急速な発達による「島宇宙化」、大国や中央集権の論理に抗うような小規模共同体の活発化などを背景に、世界の「接続性」と「孤立」について様々な角度から考え直す。芸術祭の数が増えるなか、いかに"ヨコトリらしさ"を出すかがポイントになる。参加作家は今後発表予定。

ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス

会期:2017年8月4日~11月5日

会場:横浜美術館 / 横浜赤レンガ倉庫1号館

住所:横浜市西区みなとみらい3-4-1 / 横浜市中区新港1-1-1

休館日:第2・4木

http://www.yokohamatriennale.jp

札幌国際芸術祭2017 芸術祭ってなんだ?

(右から)SIAFゲスト・ディレクターの大友良英、参加作家の岸野雄一、宇川直宏、キュレーターの藪前知子

2014年に第1回が開催、芸術祭のなかでは後発である北海道初の芸術祭「札幌国際芸術祭」が第2回を迎える。前回は音楽家・坂本龍一がゲスト・ディレクターを務めた同芸術祭だが、今回は同じく音楽家の大友良英がゲスト・ディレクターとして就任。芸術祭が乱立するなかで、そもそも芸術祭とは何か?という問いかけから出発し、市民とともにつくりあげる芸術祭を目指す。

参加アーティストは現在、半数ほどが発表されており、ARTSAT×SIAFラボ、dj sniff、EYヨ、堀尾寛太、マレウレウ、毛利悠子、中崎透、大友良英+青山泰知+伊藤隆之、刀根康尚、梅田哲也、ユエン・チーワイ、レトロスペース坂会館、大漁居酒屋てっちゃん、藤田陽介、石川直樹、岸野雄一、今野勉、クワクボリョウタ、Sachiko M、さわひらき、テニスコーツ、宇川直宏の参加が決定している。「プロジェクトFUKUSHIMA!」などをてがけてきたミュージシャンの大友が、どのようにアートと札幌の街をつなぐのか。その手腕に注目が集まる。

札幌国際芸術祭2017 芸術祭ってなんだ?

会期:2017年8月6日~10月1日

会場:札幌芸術の森、モエレ沼公園、まちなかエリア、円山エリア、札幌資料館、JRタワープラニスホール、札幌大通地下ギャラリー 500m美術館 ほか

http://siaf.jp

奥能登国際芸術祭2017 最涯の日本、最涯の芸術祭

ロゴデザインはクリエイティブディレクターの浅葉克己

能登半島の最北端に位置する珠洲で誕生した新たな芸術祭が「奥能登国際芸術祭」。こちらも「北アルプス国際芸術祭」同様、北川フラムが総合ディレクターを務めている。珠洲は三方を日本海に囲まれ、豊かな自然が残る一方、過疎化に悩まされているのは他の地方都市と同様だ。しかし、半島だからこそ、祭りや「ヨバレ」に象徴される「忘れられた日本」が残されている。それは今の時代において、特異点となりうるのではないだろうか。

同芸術祭では、珠洲の土地、生活、人々の魅力を再発見するアーティストが参加し、地元住民、地域外からのサポーターを含め大勢でつくりあげる、「今までにない新しい芸術祭」を目指すとしている。クリエイティブディレクターは浅葉克己。参加アーティストは11月現在、石川直樹、岩崎貴宏、鴻池朋子、塩田千春、ひびのこずえ、など17組が決定している。

奥能登国際芸術祭2017 最涯の日本、最涯の芸術祭

会期:2017年9月3日~10月22日

会場:石川県珠洲市全域

http://oku-noto.jp/

種子島宇宙芸術祭

「種子島宇宙芸術祭」公式サイトより

日本における宇宙開発の最前線であり、JAXAの「種子島宇宙センター」がある鹿児島県・種子島で宇宙をテーマにした芸術祭「種子島宇宙芸術祭」がスタートする。同芸術祭は2012年より様々なプレイベントを開始し、17年の本番に備えてきた。今回、総合ディレクターを務めるのは、多摩芸術大学情報デザイン学科准教授で、アーティストの森脇裕之を総合ディレクター。

「自然と科学と芸術の融合」をコンセプトに、宇宙技術を取り入れたアートの紹介や、公募で選ばれたアーティストが種子島にレジデンスし、制作した作品の展示、様々な方面のスペシャリストを招く「宇宙文化創造サミット」など、多方面から宇宙を見つめる。参加アーティストなどは今後発表予定。

種子島宇宙芸術祭

会期:2017年夏

会場:種子島島内

http://space-art-tanegashima.jp/

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