今回のテーマは一転、「芸術祭ってなんだ?」と題して開催。大友良英はこのテーマ設定について、次のように語る。「芸術祭が乱立しているけど、札幌国際芸術祭は珍しくトップダウンではなく、市民の声から始まったもの。『芸術祭ってなんだ?』は、自分自身に問いかけていたものを共有したかった。皆を巻き込むには、質問形にしたら答えが返ってくるからいいなと。芸術祭を批判するものではなく、そもそも『なんなんだ?』というところから始めないと、自分たちの芸術祭になっていかないなという思いが強かった。札幌は(芸術祭のなかでは)後発。どこかでやったようなものをやってもしょうがないし、北海道以外の人にも来てほしい。僕は音楽家なので、セッションが起こりえる芸術祭にしたい」。前回の2014年に「プロジェクトFUKUSHIMA!」として参加し、市民を巻き込むプログラムを展開した大友ならではの言葉だ。
参加アーティストはすでにARTSAT×SIAFラボ、dj sniff、EYヨ、堀尾寛太、マレウレウ、毛利悠子、中崎透、大友良英+青山泰知+伊藤隆之、刀根康尚、梅田哲也、ユエン・チーワイ、レトロスペース坂会館、大漁居酒屋てっちゃんの参加が発表されていたが、今回新たに、藤田陽介、石川直樹、岸野雄一、今野勉、クワクボリョウタ、Sachiko M、さわひらき、テニスコーツ、宇川直宏の参加が明らかになった。
会期中のプログラムでは、DOMMUNE UNIVERSITY OF THE ARTS「THE 100 JAPANESE CONTEMPORARY ARTISTS」season 5の開催も発表。これは、宇川直宏が主宰するインターネットストリーミング放送局「DOMMUNE」が、2020年までに現代日本を代表する100人のアーティストの個人史を紐解く、というインタビュー番組で、SIAF2017では札幌市内にサテライトスタジオ「DOMMUNE SAPPORO!」を開設し、第5弾の放送を行うほか、スタジオ併設ギャラリー(予定)で、作品展示やアーカイブ上映なども行う。
また、岸野雄一は芸術祭に先行するかたちで、さっぽろ雪まつりとコラボレーションした「トット商店街」を展開(2017年2月6日〜12日)。高さ15メートルにおよぶ大雪像を設置し、黒柳徹子の姿をした天女が街頭テレビを携える舞台で、パフォーマスが行われる。日本の春夏秋冬を描きつつ、日本のメディア史の過程を描きだすという。
このほか、Sachiko Mがプロジェクト・ディレクターを務める「アジアン・サウンズ・リサーチ」による展覧会「OPEN GATE」が、「OPEN GATE 2017〜動き続ける展覧会〜」として展開。15年のHin Bus Depot、16年のあいちトリエンナーレ2016に続いての開催となる今回は、札幌の広大な土地を生かし、ASEAN諸国や日本の美術家、音楽家が参加して、場所や環境を共有するなかから生まれる表現を探る。
なお現時点での参加アーティストは半数程度で、最終的なラインナップは来春に発表される予定だという。