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ウスター美術館のコレクションはいかに構築されたのか。世界初の「睡蓮」購入、そして多様性の時代へ

世界で初めてモネの「睡蓮」を購入したアメリカのウスター美術館のコレクションはいかに構築されてきたのか。マティアス・ワシェック(ジーン&マイルス・マクドナー館長)、クレア・ウィットナー(キュラトリアル部門ディレクター、兼ジェームズ・A・ウェルヨーロッパ美術キュレーター)による寄稿をお届けする。*The English version is below the Japanese.

文=マティアス・ワシェック、クレア・ウィットナー 翻訳=宮澤佳奈

「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」(東京都美術館、2024)の展示風景より

 「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展が1月26日に東京都美術館で初公開され、さらに日本国内3ヶ所を巡回予定のウスター美術館(Worcester Art Museum)は、世界的にも重要な、傑出したコレクションを有している。当館は125年を超える歴史のなかで、8000年の時にまたがる世界中の美術品を収集してきた。初期に寄贈された3700点を超える日本の木版画、古代地中海とメソポタミアの考古学的遺物、古代アメリカ大陸の陶磁器、絵画、彫刻、そして米国で2番目に大きな武器と甲冑のコレクションで構成されている。なかでも印象派のコレクションは人気が高く、フランス、ヨーロッパ、アメリカ全土の絵画を所蔵している。

 設立当初の数十年間、ウスター美術館の館長やキュレーターは、ほかの美術館がこのムーブメントへ積極的に資本を投入しなかった時代に、印象派を収集した。20世紀初頭のアメリカ印象派の絵画の多くは、画家たちのアトリエから直接購入された。1910年、当館はのちにクロード・モネの代表作となる「睡蓮」シリーズの作品を世界で初めて購入した美術館としてほかから抜きん出た。こうした歴史的購入は美術館の功績であることはもちろん、1898年の開館当時、ウスターの人口がわずか10万人であったことを考えると、さらに注目に値する。ニューイングランドの小さな工場都市であるこの街に、先進的な美術史家たちによってこのような強力なコレクションが集められた経緯を理解するためには、まずアメリカにおける美術館の広域的な文脈を考察することが助けになるであろう。

アメリカにおける美術館の歴史的な文脈

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