EXHIBITIONS

特別展

燕子花図屏風の茶会

昭和12年5月の取り合わせ

2022.04.16 - 05.15

尾形光琳筆 燕子花図屏風(左隻) 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵 国宝

尾形光琳筆 燕子花図屏風(右隻) 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵 国宝

鼠志野茶碗 銘 山の端 美濃 日本・桃山~江戸時代 17世紀 根津美術館蔵 重要文化財

膳所耳付茶入 銘 大江 膳所 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵

伝 尾形光琳作 業平蒔絵硯箱 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵

 根津美術館が特別展「燕子花図屏風の茶会 昭和12年5月の取り合わせ」を開催している。

 同館のコレクションの礎を築いた初代根津嘉一郎(1860〜1940、号・青山)が、尾形光琳による《燕子花図屏風》を購入したのは1914(大正3)年のこと。以降、嘉一郎は展覧会や茶会で、惜しみなくこの大傑作を披露した。

 本展は、嘉一郎が開いた茶会のうち、1937(昭和12)年5月の茶会で取り合わされた茶道具の名品とともに国宝《燕子花図屏風》を展覧する。

 1937年の茶会は5月5日を初日とし、政財界の友人5、6名ずつを招き、約数日間にわたって東京・青山の自邸で催された。嘉一郎は、まず茶室・斑鳩庵(戦災で焼失)で客人に懐石料理と濃茶を振る舞い、続いて付属する広間では薄茶でもてなし、その後、五十畳の大広間に《燕子花図屏風》、円山応挙筆《藤花図屏風》、《吉野図屏風》をずらりと並べ、客人を驚嘆させた。

 そのほか、小堀遠州作《一重切竹花入 銘 藤浪》や《鼠志 野茶碗 銘 山の端》などの季節の茶道具の名品も次々に披露。この会の取り合わせは、数ある嘉一郎の茶会のうち、ひときわ荘厳にして豪華といえるものだった。本展は、77歳を目前にした嘉一郎の、堂々たる布陣を一堂に堪能できる貴重な機会となる。