EXHIBITIONS
大野綾子「みどりは草の色カマキリの色」by KAYOKOYUKI
CADAN有楽町で、石彫作家・大野綾子の個展「みどりは草の色カマキリの色」が開催されている。本展は、東京・駒込を拠点とするKAYOKOYUKIによる企画。
大野は1983年埼玉県生まれ、同県在住。女子美術大学芸術学部立体アート学科を卒業後、東京芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修士課程を修了。近年の個展に「さかなのような人」(KAYOKOYUKI、東京、2018)、「ショーケースギャラリー 大野綾子展」(横浜市民ギャラリーあざみ野、2020)、展覧会に「タイムライン —時間に触れるためのいくつかの方法」(京都大学総合博物館、2019)などがある。
大野はこれまで一貫して石を扱い、彫刻作品を制作。植物や自然の風景、日常の行為などから着想を得たイメージは、石という物質を媒体として独特の「かたち」を獲得し、それは、石という素材にこだわり石彫の可能性を模索し続けてきた作家が見出した世界の「かたち」の認識にほかならない。
本展で発表される新作《みどりは草の色カマキリの色》は、大野の3歳になる子供の言葉に端を発しているという。草むらに潜むカマキリやそこから飛び出してくるカマキリは、子供の目を通して、さらには、子供だった頃の過去の記憶から表象された図像のようだ。
「シンプルな出来事から見たことのない新しい世界が広がる」という大野の言葉の通り、硬くて重い石でありながら軽快さを併せ持つカマキリは、重力や時間といった束縛を解放し、まるで未知のものに遭遇したかのような感覚に私たちを誘う。
しかし、木の破片や鉱物が混入した深岩石から彫り出された草やカマキリ、無垢のステンレスから削り出されたカマキリの痕跡は、気が遠くなるほどの長い時間と強固な物質性を思い出させ、否応なく私たちの前に立ちはだかる。軽さと重さ、自由と束縛、立体性と平面性などの相反するイメージの共生という特徴を持つ大野の作品は、無数のシンプルな事象が複雑に交錯しているこの世界の成り立ちに接続する扉のひとつとなり得るかもしれない。
大野は1983年埼玉県生まれ、同県在住。女子美術大学芸術学部立体アート学科を卒業後、東京芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修士課程を修了。近年の個展に「さかなのような人」(KAYOKOYUKI、東京、2018)、「ショーケースギャラリー 大野綾子展」(横浜市民ギャラリーあざみ野、2020)、展覧会に「タイムライン —時間に触れるためのいくつかの方法」(京都大学総合博物館、2019)などがある。
大野はこれまで一貫して石を扱い、彫刻作品を制作。植物や自然の風景、日常の行為などから着想を得たイメージは、石という物質を媒体として独特の「かたち」を獲得し、それは、石という素材にこだわり石彫の可能性を模索し続けてきた作家が見出した世界の「かたち」の認識にほかならない。
本展で発表される新作《みどりは草の色カマキリの色》は、大野の3歳になる子供の言葉に端を発しているという。草むらに潜むカマキリやそこから飛び出してくるカマキリは、子供の目を通して、さらには、子供だった頃の過去の記憶から表象された図像のようだ。
「シンプルな出来事から見たことのない新しい世界が広がる」という大野の言葉の通り、硬くて重い石でありながら軽快さを併せ持つカマキリは、重力や時間といった束縛を解放し、まるで未知のものに遭遇したかのような感覚に私たちを誘う。
しかし、木の破片や鉱物が混入した深岩石から彫り出された草やカマキリ、無垢のステンレスから削り出されたカマキリの痕跡は、気が遠くなるほどの長い時間と強固な物質性を思い出させ、否応なく私たちの前に立ちはだかる。軽さと重さ、自由と束縛、立体性と平面性などの相反するイメージの共生という特徴を持つ大野の作品は、無数のシンプルな事象が複雑に交錯しているこの世界の成り立ちに接続する扉のひとつとなり得るかもしれない。