EXHIBITIONS

アンニュイの小部屋

アルフォンス・ミュシャと宇野亞喜良

「アンニュイの小部屋 アルフォンス・ミュシャと宇野亞喜良」ポスター

宇野亞喜良 『指輪の猫』原画 1979 紙にインク、水彩、パステル 刈谷市美術館蔵

アルフォンス・ミュシャ 8月:暑さ〈下絵〉(『ココリコ』誌第16号挿絵) 1899
紙に水彩、鉛筆 堺 アルフォンス ・ミュシャ館(堺市)蔵

アルフォンス・ミュシャ ユリ:四つの花 1897
紙にリトグラフ 堺 アルフォンス ・ミュシャ館(堺市)蔵

宇野亞喜良 「ミニブックス」ポスター 1967 紙にシルクスクリーン 刈谷市美術館蔵

 堺 アルフォンス・ミュシャ館が展覧会「アンニュイの小部屋 アルフォンス・ミュシャと宇野亞喜良」を開催する。ミュシャとイラストレーター・グラフィックデザイナーの宇野亞喜良、両者の作品の数々が一堂に会する初めての展覧会。

 ミュシャの才能が花ひらいた19世紀末のパリは、ベル・エポック(良き時代)と回顧される都市文化の華やぎのいっぽうで、文学・美術の世界には妖しく頽廃的な雰囲気も漂っていた。ミュシャが描いた女性たちは、優美な微笑みを浮かべながらも、どこか物憂げな遠い目をしている。

 本展のテーマは「アンニュイ」。フランス語のアンニュイとは、物憂さ、気だるさなどの気分、あるいは雰囲気を言い表し、原義は「退屈」だが、日本語では「儚げ」「神秘的」など独特の前向きなニュアンスを含んでいる。

 本展では、ミュシャは代表的な装飾パネルを中心に展示し、宇野の作品は刈谷市美術館より特別出品。優美で華やかとされるミュシャの女性像に見え隠れする「憂いの表情」と、宇野の少女像とともに「アンニュイ」な魅力に迫る。

 ミュシャが描く1900年頃の女性と少女、そして宇野が1960〜70年代に描いた少女。異なる時代を生き、グラフィックの分野で女性や少女を題材に独自の世界観で人々を魅了する2人のアーティストの美意識にふれる。