EXHIBITIONS

西祐佳里「INDEX #5」

The Mass
2022.02.05 - 02.27

西祐佳里 Untitled Scene: F 2021 ©︎ Yukari Nishi, The Mass

西祐佳里 Untitled Scene: K 2021 ©︎ Yukari Nishi, The Mass

西祐佳里 Untitled Scene: H 2021 ©︎ Yukari Nishi, The Mass

 The Massでは、西祐佳里(にし・ゆかり)の個展「INDEX #5」を開催している。2月27日まで。

 西は1978年香川県生まれ、兵庫県在住。京都芸術大学(元・京都造形芸術大学)デザイン学科を卒業後、絵画技法を独学で学び、2004年から国内外のギャラリーやアートフェアで絵画やミクストメディア作品を発表してきた。

 西は制作において、自身が撮り溜めた写真や古い雑誌の切り抜き、インターネット上の画像などから採取した素材をストックし、下絵としてそれらをデジタルコラージュしたものを、アクリル絵具を使いキャンバスに描き起こす。このスタイルは、コラージュが持つ一種の心理療法的な側面も内包しており、自身を投影した最新の記録(Record)と内的な世界を行き来する修練を繰り返しながら筆を使い、現実と虚構が混在する、ノスタルジックかつ奇妙で幻想的な世界観を描き出している。

 本展では、初の発表となる大型キャンバスの作品をはじめ、コラージュの世界観を超越した新作を展示。どこまでも広がる空や、緑が青々と茂る草原、芝生、名前を持たない正体不明の未知の生き物たちを混在させた大胆な構図は、鮮やかな色で描いたモチーフと解像度の異なるイメージを配置することで、その違和感や陰影をより強烈にし、さらに、コラージュと映像といった異なるメディアの質感を絵画の技法を用いて見事に融合させ、表現している。

 また今回、近年の情勢から、西自身が内向的に家族と過ごす日々のなかで生まれた作品も多く、例えば、手づかみで食べる機会の多いハンバーガーの隣に置かれた消毒液や、外気から身を守ろうと防護ヘルメットを被っている少女など、これまで意識してこなかった当たり前の日常へ問いかける場面も多様に描かれ、時代を反映するモチーフも数多く登場している。

 会場では、西の作品世界を等身大のスケールで再現した空間インスタレーションと映像作品も公開。2021年に開催された「VIEWING」展(SAI、東京)への参加も記憶に新しく、国内外で注目を浴びるアーティストの新作を鑑賞できる好機となる。