EXHIBITIONS

S氏コレクションによる

加藤清美追悼展

加藤清美 たわむれのロンド 1987

 ギャルリー東京ユマニテでは、画家、版画家として活躍し、2020年に逝去した加藤清美の追悼展を開催する。

 1931年に生まれた加藤は、戦後の日本銅版画を代表する駒井哲郎に師事し、60年代から「東京国際版画ビエンナーレ」「春陽会」などで版画作品を発表。ギャルリー東京ユマニテでは、80年代から銅版画、オブジェの展覧会を開催した。作品は、東京国立近代美術館、世田谷美術館、栃木県立美術館、練馬区立美術館、大阪中之島美術館、東京オペラシティ アートギャラリー、新潟市美術館に収蔵されている。

 加藤の作品は、舞台装置のような虚構の場面から始まる。舞台にいる向こう側と、それを眺めるこちら側の世界。唐突に差し出された手や、伏目がちな女性の優しい表情、何も映し出されることのない鏡、それらは、私たちの日常から遠くかけ離れたものではなく、ふと振り返った時に見えてしまう幻覚のような世界を思わせる。その繊細で静謐な加藤の作品は、多くのファンを魅了してきた。

 本展では、生前から交流があったS氏のコレクションから、加藤の油彩、版画作品30数点を展示・販売する。