EXHIBITIONS

那須佐和子 個展「燈台へ」

2022.02.10 - 02.27

キービジュアル

 新進気鋭の画家・那須佐和子の個展「燈台へ」がmyheirloomで開催。biscuit galleryでの2人展「那須佐和子・布田葉太郎『最終観測者、?』」(2月10日~20日)および、銀座 蔦屋書店での新作展⽰「那須佐和子 slipped moonlight」(~2月26日)との同時期開催となる。

 那須は1996年⽣まれ。現在、東京藝術大学大学院美術研究科修士課程油画第一研究室に在籍。絵画があるべき場所/その在り方について、多様なアプローチを行いながら探求してきた。フレーミングへの眼差しから、四角く囲われたキャンバスの際を超えたはみ出す表現を行い、絵画の「所在」を曖昧にするなど、そこからさらに展示空間へ拡張した絵画の「終着点」と絵画の「居場所」を探る手つきへと進化を続けている。

 本展では、ヴァージニア・ウルフの小説『燈台へ』をモチーフに制作した新作を発表。3部構成の作中に登場する女性画家が、1部で亡くなってしまったある人物を描こうと苦心する姿から着想を得ている。

「意識の流れ」に基づく新しい小説手法を生み出したことで知られるウルフ。この思想に共鳴した那須は、自身の風景画によく登場する「月光」と称する丸い点を、今回、自分自身から放たれる光(レーザーポイント)として描き、小説において不変なるものとして機能している燈台の光と重なり合わせることで、瞬間と永遠が重なり合う束の間の時を追い求めたウルフの思想を体現することを試みている。また那須は、「消え去っていく時間と永遠の相剋を芸術に昇華しようとしたウルフの業が作中の画家の中にも投影されている」と言う。本展は、「とらえがたいものを描くこと」「流れていく時間がある瞬間に不変のものになること」「その瞬間を描き表すこと」を根幹に据えている。