SINA SUIEN「刺繍百花子」

　デザイナーの有本ゆみこが、デザインから素材選び、縫製、手刺繍まですべてをひとりで手がけるブランド「SINA SUIEN」。2009年にブランドを立ち上げて以来、刺繍を中心に、表面的な身体装飾としての衣服ではなく、着用者の心身と周りの空間、衣服の構造、素材が経てきた時間までも巻き込んだ総合的な衣服づくりを目指し、発表を続けている。

　2021年12月、3年ぶりとなるSINA SUIENの新作発表会「刺繍百花子」がCPK GALLERY（東京・浅草橋）で開催された。完全招待制での発表会は、脚本・演出を小説家の舞城王太郎が担当。俳優、歌手、オーナーシェフ、モデルなど、それぞれに独自の道を貫くつくり手たちとの対話を経て、SINA SUIENが手がけた衣装をまとい各々が登場し、詩を朗読しながら、「刺繍百花子」という物語が繰り広げられた。2018年からSINA SUIENの世界を撮影し続けている写真家・佐内正史が出演しながら同時に即興撮影を担い、物語を随時スクリーンに映し出した30分間にわたる発表は、見る者の頭脳を戸惑わせながらも感性に強く訴える表現となった。

　ANB Tokyoでは2月9日～20日の期間中、昨年の「刺繍百花子」で発表されたすべての衣装の展示、そしてSINA SUIENのオーダーメイド特別受注会を開催する。本展主催・制作はANIMA&COMPANY Co., Ltd.。

　会場では、刺繍百花子の物語のために制作した造形物と小道具の展示や佐内による写真を併せて紹介し、一日限りの発表会の空気を体感できる（感染予防対策のため完全予約制）。

　また会期中の2月13日には、観客として発表会を目撃したひとりでもある作家・マンガ家の小林エリカを迎え、有本ゆみことのトークイベントを会場及びSINA SUIEN公式YouTubeチャンネルにて行う。