EXHIBITIONS

塔本シスコ展 シスコ・パラダイス

かかずにはいられない! 人生絵日記

2022.02.05 - 04.10

塔本シスコ 絵を描く私 1993

塔本シスコ オノダチの大運動会 2001

塔本シスコ 桜島 1970~1988

塔本シスコ ネコ 1996

塔本シスコ 金魚-大和錦の産卵 1992

「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス かかずにはいられない! 人生絵日記」が熊本市現代美術館に巡回する。

 50代から独学で絵を描き始めた塔本シスコ(1913〜2005)は、熊本県八代市で生まれ、養父の傳八から自身のサンフランシスコ行きの夢を託されて、「シスコ」と命名された。その後、家業がかたむき、シスコは小学校を中退。奉公を重ねた末に20歳で結婚し、一男一女を得た。46歳の年には夫が急逝。心身ともに衰弱する日々から立ち直るなかで、子供の頃から憧れていた絵を描くことに、心をよせていった。

 53歳のある日、シスコは大きなキャンバスに油絵を描き始めた。その絵画世界は、何ものにもとらわれない、自身のなかに湧きおこる喜びと夢に満ちあふれている。のちに作品の主題は身近な草花や動物たち、そして時間も場所も自由自在に乗り越えて、子供の頃の想い出にまでおよんだ。生涯にわたって、少女のような純粋さを保ち、自らの喜びと夢を制作の源泉にしていたシスコは、「私は死ぬるまで絵ば描きましょうたい」と絵筆を握り続け、2005年に91歳の人生を閉じた。

 様々な苦難を乗り越え、家族に支えられながら、一生をかけて絵を描き、生み出してきたその作品一つひとつは、シスコの人生絵日記と言えるだろう。200点以上の作品で埋め尽くす「シスコ・パラダイス」が展開される本展で、いまもなお輝きを放ち続けるシスコの作品世界を楽しみたい。