EXHIBITIONS

小早川秋聲 ―旅する画家の鎮魂歌

2022.02.11 - 02.27, 2022.03.01 - 03.21

小早川秋聲 語られぬなやみ 1921 日南町美術館蔵

小早川秋聲 國之楯 1944 京都霊山護国神社蔵(日南町美術館寄託)

小早川秋聲 長崎へ航く 第12回帝展 1931 個人蔵

小早川秋聲 虫の音 第2回新文展 1938 個人蔵

小早川秋聲 天下和順 1956 鳥取県立博物館蔵

 大正から昭和にかけて京都を中心に活動した日本画家・小早川秋聲(こばやかわ・しゅうせい、1885~1974)。その大規模回顧展「小早川秋聲 ―旅する画家の鎮魂歌」が鳥取県立博物館に巡回する。

 秋聲は、鳥取県日野郡黒坂村(現・日野町黒坂)にある光徳寺の住職、小早川鐵僊(こばやかわ・てっせん)の長男として、母の実家がある神戸で生まれた。画家になることを志して日本画家・谷口香嶠(たにぐち・こうきょう)、山元春挙(やまもと・しゅんきょ)に師事。中国へ渡って東洋美術を研究し、欧州を旅して西洋美術を学んだ。また秋聲は北米を訪れて日本美術を紹介するなど、世界中を渡り歩く傍ら、日本美術協会展、文展、帝展などで活躍した。

 1931(昭和6)年に従軍して以来、中国や東南アジアに渡り、戦争記録画を制作した秋聲。とくに、1944(昭和19)年に描いた代表作《國之楯(くにのたて)》は軍の受け取りを拒否され、戦後になって改作ののち公開された。終戦後は展覧会への出品を控え、1974(昭和49)年に88歳で亡くなった。

 いまでは日本画壇における代表的な従軍画家として知られている秋聲だが、1999(平成11)年に没後初となる回顧展が鳥取県の日野町図書館で開催されたことを皮切りに、日南町美術館を中心として、秋聲の画業に対する研究・顕彰が行われ、その詳細が徐々に明らかとなっていった。

 本展では個人コレクションを中心に、秋聲の代表作をはじめとした初期から晩年に至る日本画約100点に資料を加えて展示。時代を切り取りつつ、その画業の全貌を紹介する。