EXHIBITIONS

長重之「視床」

2022.01.16 - 03.20

長重之 視床 no.1 1983 撮影=木暮伸也

 rin art associationでは、長重之(ちょう・しげゆき、1935〜2019)の展覧会「視床」を開催する。

 長は東京都出身。1942年に父の故郷である足利市に移り、60年代から地元のガス会社や病院に勤務しながら制作を始めた。以来、「日常の深淵」「物質の飽和」「意識下の精神」という独自の洞察によって導かれた「境界と領域」「物質の反乱」「生体と彼方」といった、明確なコンセプトに貫かれた作品を創作し、68年にはキャンバス地に巨大なポケットを縫い付けた「ピックポケット 68」、次いで、78年に「視床 1」という極めてユニークな作品をシリーズで発表した。

 この2つのシリーズはイベント「ロードワーク」やパフォーマンス「アタッチメント」という身体そのものの行為を伴ったアクション・シリーズと並行して展開され、その後も「平・面・躰」や「リバーベッド」など一貫性のある作品として発表された。また、60年代後半よりハンディキャップのある人々の作品に注目し展覧会を企画、コラボレーション作品とするなどの活動を続けた。きっかけとなったのは長女がダウン症と診断されたこと。この活動は長の美術家としての重要な部分を占めた。

「視床」は、長が生涯を通して貫いたテーマである、境界と領域を色濃く反映した代表作として知られている。本展では初期の鶏卵パックをコラージュした「視床」から、同シリーズより発展した「測量士の壁」や「迫」など、各シリーズの展開を網羅するように、ギャラリーの3フロアを使って展示する。