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小田原のどか 個展「近代を彫刻/超克するー雪国青森編」

メインビジュアル(デザイン=関川航平)

八甲田山の大熊氏広 雪中行軍記念像(歩兵第五連隊遭難記念碑)
撮影=小田原のどか

十和田湖畔の高村光太郎 乙女の像
撮影=小田原のどか

 彫刻家・彫刻研究者、小田原のどかの個展「近代を彫刻/超克するー雪国青森編」が青森公立大学 国際芸術センター青森で開催。彫刻を通して日本近代史やジェンダー、公共性を考える小田原が、青森の野外彫刻をリサーチした成果を発表する。

 小田原は1985年宮城県生まれ。彫刻家、評論家、出版社代表。芸術学博士(筑波大学)。主な展覧会に「あいちトリエンナーレ 2019」、「PUBLIC DEVICE -彫刻の象徴性と恒久性-」(共同キュレーター、東京藝術大学大学美術館 陳列館、 2020)。主な著書に『近代を彫刻/超克する』(講談社、2021)。経営する版元から『原爆後の75年:長崎の記憶と記録をたどる』(長崎原爆の戦後史をのこす会編、書肆九十九、2021)を刊行。『東京新聞』『芸術新潮』『ウェブ版美術手帖』にて評論を連載中だ。

 小田原は彫刻をつくられた当時や、それを見る現在の社会を映し出すメディアとしてとらえ、作品とテキストによって批評的に扱い、日本の近現代史に潜む課題を浮き彫りにしてきた。青森では雪深い冬季に屋外の彫刻が見られなくなってしまうことにも着目しながら、大熊氏広《雪中行軍記念像(歩兵第5連隊遭難記念碑)》や高村光太郎《乙女の像》、高村のアシスタントを務めた野辺地出身の小坂圭二をはじめとする青森ゆかりの彫刻家に着目している。

 本展は、青森の彫刻から見えてくる、私たちの歴史や社会を問うもの。小田原によって、雄大な山の地形に抱かれた複数の彫刻・碑といった「ここにたつ」ものたちがひも解かれ重ね合わせられることで、私たちの生きるいまが過去から照らし出されることだろう。

 出品作は小田原による作品のほか、高村光太郎《乙女の像試作第一号小型群像》、今克己《八甲田山模型》(いずれも青森県立郷土館)、田村進制作/大熊氏広《雪中行軍記念像》(銅像茶屋「鹿鳴庵」蔵)など、実資料も展示される。

※青森公立大学 国際芸術センター青森は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、1月24日〜2月28日まで臨時休館。休館に伴い、2月13日まで開催を予定していた本展は1月23日をもって終了。最新情報は公式ウェブサイトへ。