EXHIBITIONS

八木一夫と清水九兵衞

陶芸と彫刻のあいだで

清水九兵衞(洋) 花器 1955 東京国立近代美術館蔵

清水九兵衞(洋) 花器 1955 東京国立近代美術館蔵

八木一夫 踊り 1962 京都国立近代美術館蔵 撮影=江崎義一

清水九兵衞(洋) 層容 1957 東京国立近代美術館蔵 撮影=藤森武

清水九兵衞(七代六兵衞) 花陶容 1987 京都市美術館蔵 撮影=ノマ ディク工房(内田芳孝)

 第二次世界大戦の敗戦からの復興期に新たな陶芸を模索した八木一夫。日展のホープとして戦後の陶芸界に新たな風を吹かせ、のちに鋳金の彫刻家としても活躍した清水九兵衞(七代清水六兵衞)。

 八木は、鈴木治、山田光ら陶芸家仲間と1948年に結成した走泥社の中心的存在であり、用途を持たない彫刻的な作品を「オブジェ焼き」と称して制作し、表現としての可能性を追求し続けた。

 いっぽう、名古屋に生まれ名古屋高等工業学校で建築を学んだ清水は、東京藝術大学工芸科鋳金部に在籍していた51年にガラス、家具デザイン、染織、漆工の分野で活動する仲間らと新工芸協会を結成。最新のモダンリビングに合うインテリアや器物を提案する展覧会を東京、銀座で行う傍ら、江戸時代から続く陶家、清水六兵衞家の婿養子となり陶芸の道に入った。
 
 実用と表現、土とフォルム、陶芸と彫刻の間に新たな表現領域を見出した2人の挑戦は今も色褪せることなく、現代陶芸の多様な表現との繋がりを感じさせる。

 本展では、2人の挑戦と実践、共通と相違を見つめ直し、素材や形、デザインについての造形思考を再考。互いの幅広い表現活動の一端を紹介する。