EXHIBITIONS

時吉あきな 個展「気になる中華料理店」

時吉あきな ワンオール 2017

時吉あきな ナンバーワン 2018 ガーディアン・ガーデン(東京)での展示風景

kotohayokozawa × 時吉あきな 2018 Autumn / Winter

アート・オブ・シューズ #17 New Balance × 時吉あきな 2021

 WHITEHOUSE「ナオ ナカムラ」は、時吉あきなによる「気になる中華料理店」を開催。ナオ ナカムラでは今回が時吉の初個展となる。

 時吉は1994年大阪府生まれ。2016年京都造形芸術大学芸術学部情報デザイン学科卒業。スマートフォンで撮影した対象の写真をコピー用紙に出力し、原寸大の立体コラージュとして再現する作品を制作している。本物と複製物がほとんど同じだと認識できる状態を「ほぼイラストレーション」としてテーマとし、平面と立体、リアルとフェイクを行き来しながら、複製を繰り返すことによる表現を試みている。原寸大の犬を立体コラージュで制作した作品「ワンオール」で、第16回グラフィック「1_WALL」グランプリを受賞。作品を制作するほか、ファッションブランドやスポーツシューズメーカーとのコラボレーションも多数手がけている。

 本展のモチーフは、時吉が小学6年生の頃に親戚と訪れた「気になる中華料理店」。店名や所在地など詳細はわからず、おぼろげで断片的な記憶だけが残っているが、「コマ送りでいつくかのシーンや会話を繰り返し思い出す」と作家は言う。本展では、わずかな記憶と少ない情報を頼りにリサーチを重ね、ようやくたどり着いたあの中華料理店を時吉らしいエピソードとともに構成する。

 まるで大昔にタイムスリップしたかのような、どこまでが真実でどこからが空想‍なのか、曖昧ながらも作品によってひとつずつ確かめるようにたどる本展を、時吉とともに追体験してほしい。

「私が時吉に惹かれるのは、彼女自身が持つピカイチのセンスとユーモアに溢れるキャラクターもさることながら、鑑賞者との時間の共有をベースに置き、作品に対する過剰な意味づけや無闇な答えを見出さないその真っ直ぐな姿勢と、可愛さや面白さに留まらない、『愛しいものの分身』を感じさせる作品そのものの姿から、愛のこもったものづくりを感じさせてくれるところにあります(WHITEHOUSE「ナオ ナカムラ」・中村奈央、コメントより)。