EXHIBITIONS

共鳴する魂

関谷富貴と小山田二郎

2017.10.28 - 12.24

小山田二郎 鳥女 1956 栃木県立美術館蔵

関谷富貴 題名不詳 1950年代頃 栃木県立美術館蔵

関谷富貴 題名不詳 1950年代頃 栃木県立美術館蔵

小山田二郎 鳥女 1956 栃木県立美術館蔵

 生前一切の作品発表をせず、没後40年を経てその才能が見出された関谷富貴。そして人間性の深淵を厳しく見つめ、孤高の画境を開いた小山田二郎。共に栃木県北地方にゆかりのある2人の作品は深いところで互いに共鳴しあうかのような性格を持つ。太平洋戦争終戦後、深い傷を負った日本で鮮烈な作品を生んだ2人の表現者が初めて出会う展覧会。

 関谷の作品は、周囲のわずかな人々に知られるのみで、才能に気づいた知人の画家が発表を勧めても「私の仕事は夫を世に出すことですから」と断っていたという。遺族が保存した作品が栃木県立美術館の調査によってはじめて明らかになり、その鮮やかな色彩と心の深淵を画面にさらけだしていくような表現は大きな反響を呼んだ。

 いっぽう、小山田は帝国美術学校(現・武蔵野美術大学)に学んだのち、独立展、美術文化展、自由美術展などで作品を発表。戦後日本の人間像を厳しく見つめる作風で画壇の寵児となった。人間精神の暗部をえぐるようだが純粋な色彩の魅力にあふれる小山田の作品は、今日なお多くの人々に愛されている。