EXHIBITIONS

線を引かざる日なし ―鳥取ゆかりの美術家による素描

2021.11.27 - 2022.01.10

浜田宜伴 「休憩どき」の下絵」 1943頃 鳥取県立博物館蔵

恩田孝徳 10月14日 日本橋通り三丁目より京橋を望む 1945 鳥取県立博物館蔵

前田寛治 ものを喰う男 1924頃 鳥取県立博物館蔵

 鳥取県立博物館は展覧会「線を引かざる日なし ―鳥取ゆかりの美術家による素描」を開催。美術家たちが制作の過程や記録的な意味合いとして残した、多岐にわたる「素描」の世界を紹介する。

 タイトルの「線を引かざる日なし(Nulla dies sine linea)」とは、アレクサンドロス大王に仕えた古代ギリシアの画家アペレスが、日々欠かさず素描の鍛錬に励んでいたことから生まれたことわざ。顔かたちを生き写しに描くほどの技量をもつアペレスが、描画の重要性に意識的であったことに始まり、西洋では16世紀になると素描が絵画や彫刻、建築といった諸芸術の根幹をなすものとみなされ、理論、実作ともに黄金期を迎えてその地位を高めた。

 素描と一口に言えども、作品の制作過程を段階的に示すものや、必ずしも作品化することを意図しないスケッチなど、目的に応じて様々なタイプが含まれている。現在では、作品の制作背景や作家の興味関心を裏付けるための資料的な価値のほうに比重が置かれることが多いかもしれない。

 本展では、同館のコレクションを基軸としつつ県内の美術館や個人が所蔵する素描を交えながら、近代以降に活動した郷土ゆかりの洋画家や彫刻家らによる様々な素描を展観。紙に残された手の痕跡を通じて、改めて素描そのものの魅力に迫る。