EXHIBITIONS

鈴木星亜「All You Need is Surface」

2021.11.20 - 12.19

鈴木星亜 Surface 21_01 2021

鈴木星亜 Surface 21_02 2021

 Maki Fine Artsは、鈴木星亜(すずき・せいあ)の個展「All You Need is Surface」を開催する。

 鈴木は1986年東京都生まれ。2012年に多摩美術大学大学院美術研究科博士前期(修士)課程絵画専攻油画研究領域を修了し、同年にVOCA賞を受賞。実際の風景をもとに絵を描く手法で制作し、「ものを見て、描く」という絵画のプロセスのなかで何が起こっているのかを探求している。

 鈴木の描く風景には「ゆがみ」が生じる。それは実際の風景を取材する際、カメラで記録するのではなく文字によるメモ書きを残し、そのメモ書きの記憶を頼りにして作品化するユニークな制作プロセスに起因している。また鈴木はキャンバスに構図の下書きをせずに、直接描くという手法をとっている。

 風景を二次元化する過程において、写真で記録する場合は、撮影時にトリミング(切り取り)されるが、鈴木の制作手法は、事後的にキャンバスの枠内にイメージを押し込め、圧縮するような描写で進めるため、その結果として、自由自在に変換された独自のパースペクティブが生み出されている。

 本展では、鈴木の代表的な題材である、水面を描いた新作を中心に発表する。

 水面を白い網目のラインで表現した描写や、樹木や葉っぱの強調された輪郭が、画面に与えるイリュージョンの作用を後押ししている。近年、鈴木が試み続けている、画面に皺をつくり、凹凸を用いて描く手法も、その実践の延長線上にある。