EXHIBITIONS

クリスチャン・マークレー

トランスレーティング[翻訳する]

クリスチャン・マークレー フェイス(恐れ) 2020 コラージュ 30.2cm×30.3cm
© Christian Marclay. Courtesy Gallery Koyanagi, Tokyo.

クリスチャン・マークレー リサイクルされたレコード 1981 コラージュされたレコード 直径30.5cm
Collection of the artist © Christian Marclay. Courtesy Paula Cooper Gallery, New York.

フォノギターを弾くクリスチャン・マークレー 1983
Photo: Steve Gross © Christian Marclay. Courtesy Paula Cooper Gallery, New York.

クリスチャン・マークレー アクションズ:Froosh Sploosh Wooosh Sskuusshh Splat Blortch(No.2) 2014
スクリーン・プリント、アクリル絵具、カンヴァス 222.2cm×302.5cm
© Christian Marclay. Photo © White Cube(George Darrell)

クリスチャン・マークレー 無題 (「グラフィティ・コンポジション」シリーズより) 1996-2002
150枚からなるポートフォリオより
© Christian Marclay. Courtesy Paula Cooper Gallery, New York.

クリスチャン・マークレー コンチネンタル(「ボディ・ミックス」シリーズより) 1991 
ふたつのレコードカバー、木綿糸 54.6㎝×33㎝
Photo: Steven Probert © Christian Marclay. Courtesy Paula Cooper Gallery, New York.

クリスチャン・マークレー サラウンド・サウンズ 2014-2015 映像インスタレーション
Photo by Ben Westoby © Christian Marclay. Courtesy White Cube, London, and Paula Cooper Gallery, New York.

 クリスチャン・マークレーの国内美術館初となる大規模展「クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]」が、東京都現代美術館で開催される。

 マークレーは1955年アメリカ・カリフォルニア州生まれ、スイス・ジュネーヴ育ち。ボストンのマサチューセッツ芸術大学で美術学士を取得後、ニューヨークのクーパー・ユニオンで学んだ。79年、ターンテーブルを使った最初のパフォーマンス作品を発表。レコードをインタラクティブな楽器として扱う先駆的なアプローチにより、実験音楽シーンの重要人物として知られるようになる。80年代以降には、即興の演奏のほか、聴覚と視覚の結びつきを探る作品で、美術の分野でも活躍。さらに音楽の分野でも重要な活動を続け、日本では大友良英ら、これまでに数多くのミュージシャンと共演やレコーディングを行う。長年マンハッタンを拠点に活動してきたが、近年はロンドンを拠点としている。

 前衛的な音楽シーンの重要人物として、いっぽうで視覚的な情報としての音や、現代社会で音楽がいかに表象され、物質化、商品化されているかといったテーマに焦点を当てた活動で、現代美術と音楽をつなぐ作家とみなされてきたマークレー。レコードやCD、コミック、映画、写真など、幅広いファウンドメディアを再利用しつつ、これまで、パフォーマンス、コラージュ、インスタレーション、ペインティング、写真、ヴィデオなど数多くの作品を生み出し続けている。

 本展では、マークレーの多様で折衷的な実践を紹介。視覚と聴覚の経験の等価性を追求し、ある感覚を別の感覚に置き換えることで世界を読み解こうとするユニークなアプローチを、「Translating [翻訳する/変換する]」という語で言い当てる(展覧会リリースより引用)。

 出品作は、コンセプチュアル・アートやパンク・ミュージックに影響を受けた初期作品から、イメージと音の情報のサンプルを組み立てた大規模なインスタレーション、さらには現代社会に蔓延する不安を映し出した最新作まで、活動の全貌に迫る。

 また本展では、声のための「グラフィック・スコア」である《Manga Scroll》(2010)、英語に翻訳された日本のマンガから流用したオノマトペ(擬音)に着目した作品も展示。そして会期中には、日本在住の音楽家がマークレーの「グラフィック・スコア」を翻訳し演奏する関連イベントも予定している。