EXHIBITIONS

高橋知裕「animism」

2021.11.05 - 11.26

高橋知裕「animism」より

 COHJU contemporary artでは、若手作家・高橋知裕の初個展「animism」を開催する。

 高橋は1996年大分県生まれ。2019年に京都芸術大学美術工芸科を卒業後、21年に京都芸術大学大学院修士課程美術工芸領域油画分野を修了。ぬいぐるみなどの子供向け玩具を主なモチーフとしたコラージュ技法を思わせる絵画作品を制作している。

 主題のぬいぐるみや、紙とテープで切り貼りしたかのように見える背景は、あたかもそこに実在するかのように写実的かつ物理的な立体感をもって忠実に描かれるいっぽう、それとは対照的に脱力感に溢れた子供の落書きのような線描や、平面的な印象を与える色使いも併置された画面構成となっている。それぞれに異なる要素の均衡が保たれるように描かれることにより、画面の中のぬいぐるみがより生き生きと命が宿ったような独特な印象を放つ。

 高橋の作品のモチーフとして度々登場する生物を模したかたちをした「ぬいぐるみ」は、生命を持たず言葉を発さないために、かえって豊かな包容力で自分自身を見守ってくれる大切な家族や友達のような存在だと作家は言う。

 本展のタイトルとなった「アニミズム」は、高橋にとってのぬいぐるみの存在が、万物に魂が宿るとするアニミズムの概念に通ずるという考えに由来。作品を描くことを通してモチーフであるぬいぐるみと対話し、画面のなかに理想像を描くことで、鑑賞者にとってもまた心に寄り添う作品を描くことを追求している。

 本展では、すべて新作となる絵画作品10余点を展示。注目の若手作家の作品が一堂に会す貴重な機会となる。