EXHIBITIONS

藤井保 瀧本幹也 往復書簡 その先へ

2021.10.30 - 11.28

キービジュアル

岬2 Photo by Tamotsu Fujii

Waiheke Ferry Photo by Mikiya Takimoto

 MA2 Galleryでは、写真家の藤井保と、藤井に師事した瀧本幹也の2人展「往復書簡 その先へ」を初開催する。出会いから30年近く、師弟を超えた関係にフォーカスした写真で対話する展覧会。

 今回の展示内容の方向性を探るべく藤井と瀧本は、2019年6月から、写真を主としたメールでの往復書簡を始めた。日常で感じた些細なこと、仕事のこと、写真への考え方などを互いに伝え合い、気軽に撮ったiPhoneやiPadの写真、未発表の過去作品などでやり取りが続けられた。往復書簡を始めた頃には、想像もつかなかった世界中を脅かす新型コロナウイルスの流行で余儀なくされた生活変化、そして藤井の島根移住の決意、コロナ感染拡大のなかで行われた東京オリンピック・パラリンピックと、予期できないことばかりの2年半だった。

 この長期の往復書簡は、写真は2人にとって何なのかを問いかけた時期でもあると言う。互いの言葉と写真のやり取りのなかで、本展において何を伝えるべきか、何度も話し合い、ふたりの関係でしかできない展覧会「藤井保 瀧本幹也 往復書簡 その先へ」を、2年半をかけてつくり上げた。

 島根に居を移した藤井は、本展のために40年以上にわたる自分の作品を、一つひとつ見つめ直しながら展示作品を選び、瀧本はそれに呼応するように新作を含む写真で対話する。

 本展のギャラリー1階には、ふたりが出会った藤井の「その先の日本へ。」(JR東日本、1992)からはじまり、世界中を周り撮影してきたふたりだからこそ、このコロナ禍で人間がどう進歩しようともあらがえない大自然を写す作品を展示。続いて2階では、藤井と瀧本のいまだから伝えたいメッセージ写真が繰り広げられる。そして3・4階は、この展覧会のためだけに、ふたりが選んだポラロイドをひとつのフレームのなかに組み合せた作品と、往復書簡のやり取りから生まれた組み写真で構成される。