EXHIBITIONS

渋谷区立松濤美術館 開館40周年記念

白井晟一 入門

2021.10.23 - 12.12, 2022.01.04 - 01.30

懐霄館(親和銀行電算事務センター) 1973-75 撮影=柿沼守利

渋谷区立松濤美術館 外観 写真=©︎ 村井修

中央公論社 中公文庫装丁デザイン画 白井晟一建築研究所(アトリエNo.5)

白井晟一 ポートレイト 白井晟一研究所蔵

 渋谷区立松濤美術館は開館40周年記念展として、同館の建築を手がけた白井晟一の展覧会「白井晟一 入門」を2部に分けて開催する。

 白井晟一(しらい・せいいち、1905~1983)は京都で生まれ、京都高等工芸学校(現・京都工芸繊維大学)図案科卒業後、ドイツで哲学を学ぶなど異色の経歴を持つ建築家。小説家の林芙美子らと交流した滞欧期を経て帰国後、義兄の画家・近藤浩一路の自邸を設計したことを契機に独学で建築家への道に進み、その後「歓帰荘」「秋ノ宮村役場」といった初期の木造の個人住宅・公共建築から、「親和銀行本店」「ノアビル」「渋谷区立松濤美術館」など後期の記念碑的建築まで、多くの記憶に残る作品を残した。

 そのユニークなスタイルから「哲学の建築家」などとも評される白井。いっぽうで、建築以外の分野でも才能を発揮し、多くの装丁デザインを手がけ、そのなかには「中公新書」の書籍装丁など現在まで使用されているものもある。また著作や書家としての活動など、建築の枠組みを超え、かたちや空間に対する思索を続けた。

 白井の晩年の代表作を会場とする本展は、初期から晩年までの白井建築や、その多彩な活動の全体像にふれる「白井晟一入門編」として構成するもの。第1部「白井晟一クロニクル」では白井の設計による展示室でオリジナル図面、建築模型、装丁デザイン画、書などを、白井晟一研究所のアーカイヴを中心に展示し、その活動をたどる。続く第2部「Back to 1981 建物公開」では、松濤美術館そのものに注目し、長年、展示向けに壁面などが設置されている展示室を、白井がイメージした当初の姿に近づけ公開する。