EXHIBITIONS

ステファン・ブルッゲマン「ALLOW ACTION(GOLD PAINTINGS)」

2021.09.18 - 10.23

ステファン・ブルッゲマン Hyper-Poem(Like) 2021

ステファン・ブルッゲマン Hyper-Poem(Free Black) 2021

ステファン・ブルッゲマン Hyper-Poem(Control) 2021

ステファン・ブルッゲマン Hyper-Poem(Soul to soul) 2021

 加速するデジタル社会に、ニヒリズムとポップを融合した一石を投じるステファン・ブルッゲマン。日本では3年ぶりとなる個展「ALLOW ACTION(GOLD PAINTINGS)」がKOTARO NUKAGA(六本木)で開催される。

 ブルッゲマンは1975年メキシコシティ生まれ。メディアや広告、SNSに至るまで、おびただしい数のテクストがあふれる現代社会で生じる様々な矛盾を、言葉やアプロプリエーション(流用)を通して作品化する。作品は彫刻、映像、ペインティングやインスタレーションなど、異なる領域を横断。鮮やかな色彩、鏡、ネオンサインといった身近な素材を用い、現代社会への辛辣な批評とポスト・ポップの美学的視点を巧みに組み合わせた手法が高い評価を得ており、2019年にはパリのポンピドゥー・センターで大規模なインスタレーション作品を展示するなど、世界各地で展覧会やプロジェクトを展開している。

 本展では、2020年のコロナ禍におけるロックダウン期間に生まれた新シリーズ「Gold Painting」の新作10点を発表する。

「Gold Painting」は、カッティングシートに写しとったテキストを木製パネルに貼り付けたうえから、金箔をラフに手で擦り付けながら何層も重ねたのち、パネルの裏面からタッカーを打つ、またはナイフで表面を傷つけることで描かれた。ブルッゲマンは、身体的な動きの痕跡や金箔の裂け目から見える下地の色の重なり、所々めくれ上がった金箔の風合いなど、それぞれに表情の異なる作品を生み出した。

 紀元前から高貴な人々だけが装飾品として身にまとい、儀式や葬いで象徴的に用いられるなどスピリチュアルな存在であり続ける金。かつて英国で貨幣の価値基準として金を用いる「金本位制」が施行されるなど、価値の高いものの象徴として経済的な面でも珍重されてきた。ブルッゲマンは、このスピリチュアルと経済という相反する局面において、価値を変動させ続ける金からつくられる金箔を作品に用い、不確かな現代におけるものの価値を問いかける。