EXHIBITIONS

仲衿香「Not Found」

2021.09.03 - 09.18

仲衿香 U 2021

仲衿香 I 2021

 若手アーティスト・仲衿香の個展「Not Found」がSH GALLERYで開催される。

 仲は1994年長野県小諸市生まれ、2019年東京造形大学絵画専攻卒業。大学在学中にアートコンペ「CAF賞2018」で白石正美賞を受賞。「アートフェア東京2019」では出品作が完売となった。

 仲は断片的なロゴや自然風景、身近な日常生活の事物などを視覚的な要素として絵画空間に落とし込み、抽象的な意味を可視化させた図形を再構築する。絵具を支持体に厚塗りにのせて描くと、絵具が自分の予想を超えた動きをする瞬間があり、 自分と支持体のあいだに「ズレ」が生まれ、思い通りにならないそのズレにこそ、魅力を感じていると言う。

 絵画の可能性を探求し続け、伝統的な絵画形式を打ち破り、「瞬間性」と「偶然性」を直接的に表現してきた仲。その作品の主体性を排した画面の絵具の厚さや積み重ねられたグラデーション、柔らかくクリーミーな質感は、強い視覚的なインパクトを与えるだけでなく無限の好奇心と想像を掻き立てる。

 SH GALLERYでの2年ぶりに個展に寄せて、作家は次のようにコメントしている。

「今、目の前にある記号を日記のように切り取り、絵画に落とし込んでいます。日々の中で目まぐるしく新しい流行、建物、技術、表現方法が誕生していますが、その一方で衰退していくもの、無くなっていく物事があります。

目の前に当たり前にある物事は、いつの日にか当たり前では無くなる。失ってからその物事の価値に気づく場合もあるだろうし、はたまた完全に忘れ去られてしまうかもしれません。数十年後、数百年後、自分の作品はどういう見え方の変化をしているのでしょうか(仲衿香)」。