EXHIBITIONS

渡辺省亭 ―欧米を魅了した花鳥画―

2021.07.17 - 08.29

渡辺省亭 牡丹に蝶の図 1893(明治26) 個人蔵

渡辺省亭 雪中群鶏図 1893(明治26)
東京国立博物館蔵 Image: TNM Image Archives
展示期間:8月9日~8月29日

渡辺省亭 萩にうさぎの図 個人蔵

「渡辺省亭 ―欧米を魅了した花鳥画―」展が佐野美術館に巡回する。明治〜大正時代に活躍した日本画家、渡辺省亭(わたなべ・せいてい、1852~1918)の全画業を紹介する初の展覧会。

 幕末の江戸に生まれた渡辺省亭は、16歳より歴史画家・菊池容斎(きくち・ようさい)の内弟子となった。その後、輸出工芸品の下絵を手がけ、28歳で日本画家として初めて渡仏し、印象派の画家エドガー・ドガと交流。日本画の技法に西洋的な写実性を取り入れ、精微な筆致と洗練された構図で描かれた省亭の花鳥画は、パリの万国博覧会への出品やイギリスでの個展などを通じて、欧米各国で高く評価された。

 日本に戻った省亭に、鏑木清方をはじめ多くの画家が私淑したが、後年は画壇を離れて自らの画風を貫き、没後の回顧展もなかったことから、日本では知る人ぞ知る存在となった。

 本展は、省亭の知られざる画業に迫る待望の大規模回顧展。海外からの里帰り作品や個人所蔵を中心とした名品約100点を一堂に展示し、柔らかな質感に富む花や鳥、湿潤な大気、粋で艶やかな江戸美人など、省亭の彩り豊かな絵画世界を展覧する。