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EXHIBITIONS

木彫り熊の申し子 藤戸竹喜

アイヌであればこそ

藤戸竹喜 白熊の親子(部分) 1999 個人蔵

藤戸竹喜 全身を耳にして(部分) 2002 鶴雅リゾート(株)蔵

藤戸竹喜 川の恵み(部分) 2000 鶴雅リゾート(株)蔵

藤戸竹喜 左から《日川善次郎像》(1991)、《杉村フサ像》《川上コヌサ像》(1993)、3点とも個人蔵

藤戸竹喜 遠吠えする狼 2018 個人蔵

藤戸竹喜 木登り熊 2017 個人蔵

 藤戸竹喜(ふじと・たけき、1934〜2018)は北海道美幌町出身の木彫家。旭川市で育ち、木彫り熊の職人だった父親のもとで12歳の頃から熊彫りを始めた。まさかりで切った木の塊を渡され、それを自分なりに削る。父はそれを見て、気に入らなければ、火にくべてしまう。そんな繰り返しのなかで熊彫りの技を習得した藤戸は、やがて阿寒湖畔に移り住み、この地で才能を開花させて、数多くの木彫作品を生み出した。

 藤戸の作品の特徴は、大胆さと繊細さ、力強さと優しさといった、相反するものが同居していること。デッサンなしで彫り進められた熊や動物の姿は、まるで生きているかのように躍動し、旺盛な生命力を感じさせる。いっぽうで仕上げに行われる毛彫りは細密で、硬い木であることを忘れさせるような柔らかな質感を生み出している。

 また、アイヌ民族の先人たちの姿を等身大で彫った作品群は、精緻な写実的描写のなかに、威厳に満ちた存在感を示しており、見る者を深い感動に誘う。

 本展は、藤戸の初期から最晩年にいたる代表作80余点を展示。不世出の木彫家・藤戸竹喜の全貌を、東京で初めて紹介する機会となる。