EXHIBITIONS

藤元明個展「海ごみのあと/ Trace of Marine Debris」

elephant STUDIO 1F/ 2F
2021.05.05 - 05.16

メインビジュアル

 アーティスト・藤元明の個展「海ごみのあと」が渋谷のelephant STUDIOで開催される。本展は、アートプロジェクトプロデュース集団「WATOWA GALLERY」の企画によるもの。


 藤元は1975年東京都生まれ。東京藝術大学美術学部大学院デザイン専攻修了。FABRICA(イタリア)に在籍後、東京藝術大学先端芸術表現科助手を経てアーティストとして国内外で活動。社会現象や環境問題をモチーフとして、様々なメディアで作品展示や、企業やほかのアーティストたちと協力するアートプロジェクトを展開している。

 主な活動に、リサイクルマークを時代環境に合わせて更新させ続けることをコンセプトした「NEW RECYCLE®」、オリンピック・パラリンピック後の東京を展望する「2021」、原爆や戦争など社会的喪失の記憶をテーマにした国際的プロジェクト「FUTUREMEMORY」など。2015年より藤元が開始した、都市の余白を活用する「ソノ アイダ」プロジェクトは現在も様々なかたちで進化している。

 本展では、これまで「NEW RECYCLE」をテーマに日常の無駄・余剰をアートで昇華してきた藤元が、自ら海岸や海上に足を運んで採取した映像と、実際の海ごみやその再生素材を用いた作品を展示。海ごみという、途方もない問いにどのように向き合うかを表現する。

 出品作のひとつ《Fountain#Neustonplastics》は、2020年10月にJAMSTEC(海洋研究開発機構)の海洋調査船に乗船した藤元が、海ごみ調査の現場から様々なインスピレーションを得て制作したもの。ごく微細なプラスチックごみが流入していると言われる海面の映像を湧き出る泉のように表現し、それは私たちの目には確認できないマイクロプラスチックの存在を想起させる。

 
そして、実際に海岸に漂着している海ごみ(海洋プラスチック)を溶かして描いた絵画「Last hope」シリーズ。その新作たちは、訪れた海岸で炭火を焚きその場で溶かされ制作された。大量に打ち上げられた海ごみは、2019年9月に訪れた時より明らかに増えていたという。


 泉と海は、地表に存在する水のなかでもっとも遠いものでありながら、どちらも人を魅了し続けてきた地球の豊かさの象徴。無数の見えないごみを含みながらも、鑑賞者を魅了する美しい海の映像は、人間が全貌を把握しきれなくなったごみの問題を皮肉に照らすものと言えるだろう。

 また藤元は、漁網を価値のあるものとして生まれ変わらせるプロジェクトとして、アイウエアブランドのJINS、廃漁網のリサイクルに取り組むリファインバースと協業し、宮城県の漁網を100パーセント活用してつくられた添加剤不使用のサングラスを開発。本展で、そのプロトタイプを初めて公開する。