ヴラマンク展 絵画と言葉で紡ぐ人生

　激しい色彩表現を特徴とする野獣派（フォービスム）の画家として知られ、20世紀のフランスで活躍したモーリス・ド・ヴラマンク（1876-1958）。

　ヴラマンクはフォービスム以後、セザンヌの芸術を受容し、落ち着いた色彩と堅固な空間表現を獲得。しかし、セザンヌの芸術から開花したキュビスムをはじめとする同時代の前衛芸術の展開に追従することなく、独自の絵画表現を確立した。

　第一次世界大戦以降はパリの喧騒から離れた静かな地で生活を送り、村の家々、道、雪景色といった風景や自宅で目にした花束、静物を主題に、身近な対象が自身の内に喚起させる詩的な感情と対面。具象的な絵画を表現し続けたその画業は、佐伯祐三や里見勝蔵といった日本人画家にも大きな影響を与えた。

　本展では、フランス、スイスで所蔵されるヴラマンクの作品約80点を中心に展示。また、画家の枠に収まらず文筆家として残した言葉を絵画作品と対置させ、絵画と言葉によってヴラマンクの孤高の人生を探る。