EXHIBITIONS

具象画家 ベルナール・ビュフェ

―ビュフェの描いたもの―

ベルナール・ビュフェ 肉屋の少年 1949

ベルナール・ビュフェ 緑のある風景 1962

ベルナール・ビュフェ モンマルトル、モンマルトルのサクレ=クール教会堂 1967

展示室の様子

 ベルナール・ビュフェの描いた様々なモチーフやテーマに焦点を当てた展覧会「具象画家 ベルナール・ビュフェ ―ビュフェの描いたもの―」が開催されている。

 20世紀初めの抽象絵画の登場により、それまで姿のあるもの、目に見えるものを描いた「絵画」は、「具象絵画」と呼ばれるようになった。第二次世界大戦後には、新たな抽象表現が世界各地で同時多発的に生まれ、時代の流れは具象から抽象へ、そして芸術の発信地はパリからニューヨークへ移っていくこととなる。

 ベルナール・ビュフェが画家としてデビューしたのは、パリの美術界が大きく揺らいでいたそんな時代。抽象と具象が対立するもののように扱われた当時、抽象の動向に対抗すべく具象の新しい力を求めた人々は、若き具象画家の登場を歓迎し、スターへと押し上げた。

 自身も具象にこだわり、生涯を通じてあらゆる「かたちあるもの」を描き続けたビュフェ。あるインタビューで「抽象絵画をやってみようと思ったことはないのか」と問われた時、「ありません。絵画作品はすべて『抽象』です。具象絵画は誰にでも理解できるものでなければならない。同時に、そこに人々が何かを見出すことができなければならないのです。すべての芸術が『抽象』であるというのは、この意味においてです」と答えている。

 本展では100点以上の作品を展示し、ビュフェの描いた「かたちあるもの」に改めて向き合う。