EXHIBITIONS

春木麻衣子「still life」

2021.04.03 - 05.15

春木麻衣子 Hello Kitty 2021 ©︎ Maiko Haruki Courtesy of TARO NASU

春木麻衣子 Moomintroll 2021 ©︎ Maiko Haruki Courtesy of TARO NASU

 アーティスト・春木麻衣子の新作個展「still life」がTARO NASUで開催される。

 春木は1974年茨城県生まれ。現在、玉川大学芸術学科に在籍中。2018年に文化庁新進芸術家海外研修員として渡仏し、フランス・パリでのロックダウンの時期を経て日本に一時帰国した春木は、資生堂ギャラリーでの「アネケ・ヒーマン&クミ・ヒロイ、潮田 登久子、片山 真理、春木 麻衣子、細倉 真弓、そして、あなたの視点」展(〜4月18日)と、国立新美術館で開催された「DOMANI 明日展2021 スペースが生まれる」という2つのグループ展に参加し、両会場で旧作と新作をまとめたインスタレーションを発表したばかりだ。

 4年ぶりとなるTARO NASUでの個展のために、春木が被写体として選んだのは、ポップカルチャーのアイコンとも言える「キャラクター」たち。日本の「カワイイ・カルチャー」の顔であるハローキティやアメリカで誕生したミッキーマウスなど約10種類のキャラクターぬいぐるみを、春木は往年の銀幕スターのスチール写真のようにスタジオで撮り下ろした。

 全点新作で挑戦する本展においては、自主隔離の時間に体験した自己との対話や社会と個人の関係についての考察など、「個」から発してより普遍的なものへと進んでいく作家自身の、視野の拡大も感じられる作品群約10点を展示する。

 いまこの瞬間も、世界中で新たにイメージやストーリーが「新商品」として生成され、販売・消費され続けているキャラクターの存在が物語るものとは何か。春木の作品において、大量消費社会に君臨するアイコンの「影」が語りだすもうひとつの物語に耳を傾けてほしい。