EXHIBITIONS

鋳物(いもの)・モダン -花を彩る銅のうつわ-

2021.03.13 - 05.16

初代須賀松園 攀龍文大花瓶 高岡市美術館蔵

芙蓉龍流足薄端 銘栄清 富山大学芸術文化学部蔵(大郷コレクション)

蟹付魚籠形花器 富山大学芸術文化学部蔵(大郷コレクション)

 京都の泉屋博古館は、金属工芸に焦点を当てた特別展「鋳物(いもの)・モダン -花を彩る銅のうつわ-」を開催する。

 東アジアにおける金属工芸は、3000年という長い歴史のなかで育まれてきた。中国では宋時代以降、古代青銅器を模倣した銅花器が文人の書斎を飾る道具として珍重され、日本にも室町時代以降、多くもたらされた。江戸時代には中国伝来の作品を模倣した銅花器が発達し、さらにその伝統は近代へと受け継がれた。

 本展では、富山大学芸術文化学部所蔵の「大郷コレクション」を中心に、日本近代銅花器の多種多様な造形を展覧する。

 大郷コレクションは、富山県出身の華道家・大郷理明(おおごう・りめい)の審美眼で選び抜かれた花器のコレクション。その中心は明治時代以降につくられた銅花器で、郷里・富山のなかでも鋳物の街として知られる高岡市にキャンパスを持つ富山大学芸術文化学部に寄贈・収蔵されている。

 古典美を追究したものから、カニなどの生き物を超絶技巧で表したユニークなものまで。近代金工の魅力がふんだんに詰まった同コレクションの、寄贈先以外での一挙展示は本展が初となる。

 さらに、近代蠟型(ろうがた)鋳造の発展に大きく貢献した「須賀松園工房」に注目し、その代表作とともに蠟原型などもあわせて公開。日本近代の銅器制作のなかで大きな地位を占めた、蠟型鋳造技法をわかりやすく紹介する。

※泉屋博古館は、京都府に緊急事態宣言の発出を受けて、4月25日〜5月11日まで臨時休館し、5月12日より再開。最新情報は公式ウェブサイトへ。