EXHIBITIONS

前田哲明「Recent Work 2021」

2021.03.11 - 03.28

前田哲明 Untitled 2018 gallery 21yo-jでの展示風景

 彫刻家・前田哲明(まえだ・のりあき)の個展「Recent Work 2021」がgallery 21yo-jで開催されている。3月28日まで。

 前田は1961年東京都生まれ。86年に東京藝術大学美術学部彫刻科を卒業後、88年に同大学大学院美術研究科修士課程を、91年に同大学大学院美術研究科博士課程満期を修了。主な受賞歴に、第19回現代日本彫刻展・大賞(2001)、第13回本郷新賞(2007)、第15回KAJIMA彫刻コンクール・銅賞(2018)などがある。

 重厚な見た目でありながら同時に軽やかな印象を併せ持つ鉄の彫刻を手がけてきた前田は、近年ドローイング(平面)によって彫刻(立体)を考えることを意識的に継続して進めてきた。本展では表現の新たな展開に向けて、新作の彫刻作品とドローイング、小立体を展示。作家は次のようにコメントしている。

「私にとって空間に鉄を置いていく感覚は、紙面に色を置いてドローイングする感覚に等しい。そこには自己完結という言語は存在せず、極めて流動的である。それは、あくまでも見る側に想像する余白を残すことなのかもしれない。

 いままで制作とは、その時々の自分の感覚の記録を残すことのように朧気に思う節はあったが、最近はむしろ人々の記憶を呼び起こすカタチとは何かということではないかと、何か自分の原点に戻るような気持ちで考えてみたりする。たとえ、それが意味のない作業の繰り返しであっても、そこに価値を見出せるか否かが制作を続けていく意味で重要なモチべーションなのかもしれない。この10年を振り返って自分が制作してきた流れで、いまようやく次の展開に移行する時期を迎えようとしている気がする。未だ言葉にもカタチにもならない何か、それは抽象的な表現かもしれないが、何処からともなく降りてくるような感覚である(前田哲明)」。