EXHIBITIONS

横山隆平 × 長谷川寛示「Some kinda freedom」

2021.03.06 - 04.10

横山隆平 × 長谷川寛示 WALL crack & weed #1 2021 © Ryuhei Yokoyama × Kanji Hasegawa Courtesy of KANA KAWANISHI GALLERY

横山隆平 × 長谷川寛示 WALL crack & weed #2 2021 © Ryuhei Yokoyama × Kanji Hasegawa Courtesy of KANA KAWANISHI GALLERY

横山隆平 WALL stanza(Third) 2020 © Ryuhei Yokoyama Courtesy of KANA KAWANISHI GALLERY

横山隆平 WALL stanza(detail) © Ryuhei Yokoyama Courtesy of KANA KAWANISHI GALLERY

長谷川寛示 HULLABALOO 2020 © Kanji Hasegawa Courtesy of KANA KAWANISHI GALLERY

長谷川寛示 Flower and Vase_4 2021 © Kanji Hasegawa Courtesy of KANA KAWANISHI GALLERY

 写真家の横山隆平と、僧侶で彫刻家の長谷川寛示による2人展「Some kinda freedom」がKANA KAWANISHI GALLERYで開催される。仏教用語でもある「自由」を主軸に、ストリートと仏教を横断する展覧会となる。

 横山は1979年生まれ。「都市とは何か」をテーマとし、モノクロフィルムによるストリートスナップを中心に発表。視点やアプローチを変えながら、流動する都市の姿をとらえてきた。

 2020年に制作をスタートした新シリーズ「WALL」では、自身のライフワークとして撮り溜めてきた数千枚にも及ぶストリートスナップのなかからプリントしては洗いをかけ、さらにそこにプリントするという行為を繰り返し、街の壁の経年変化を表現。それらの写真はさらにレイヤーに分けられ、紫外線で瞬時にインクが硬化するUVプリンターで出力されることで、幾重にもインクが立体的に盛り上がり、見る角度によって異なる表情が顕現する唯一無二のプリントとして立ち現れる。

 長谷川は1990年生まれ。2014年東京藝術大学美術学部彫刻科卒業、16年同大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。「概念」を「形象」へと落とし込む制作過程でそれぞれに通じるものとして、学んできたアート表現や、親しんできたパンクロックカルチャーのみならず、仏教への興味を募らせ、曹洞宗大本山永平寺での修行を経て僧侶となる。
 
 現在は僧侶とアーティストを両立させて活動。リアリズムの造形を行いながらも、モチーフの表象を介入的に組み替える長谷川は、作品制作を通し、自らの属する文化や社会に内在する観念や価値に疑問を投げかける。

 2020年秋に2人の作家は作品を通じて出会い、偶発的な縁のつながりで今回の2人展を開催する運びとなった。本展では、個々の作品に加え、初のコラボレーション作品「WALL crack & weed」を発表する。

「WALL crack & weed」で長谷川は、渋谷に自生する雑草をリサーチし、変わりゆく街並みに惑わされずに淡々と芽吹き続ける「いのち」に着眼。仏具の伝統的技法である木彫に金箔と和蝋燭による煤で、経年を凝縮し形象化された植物のモチーフは、グラフィティのスナップショットを直に印刷し花器に見立てたコンクリート瓦礫片へ華道的にあしらわれることで、その一期一会が恒久化する。

 横山がライフワークとして大量に撮り溜めた渋谷のグラフィティのストリートスナップは、人々の生活の営み場の記録であるとともに、スクラップ・アンド・ビルドで変わりゆく街の無常を体現するものでもあり、2人の表現が響き合った「WALL crack & weed」は、変わるもの・変わらないもの、残るもの・残らないものといった根源的な相反をも肯定的に内包する。