EXHIBITIONS

ティーロ・ハインツマン「my time your time our time time」

2021.02.09 - 03.20

「Thilo Heinzmann:my time your time our time time」展示風景より Photo by Kei Okano Courtesy of Perrotin

 ドイツの画家、ティーロ・ハインツマンの日本初個展「my time your time our time time」がペロタン東京で開催されている。

 ハインツマンは1969年ベルリン生まれ。90年代初頭よりフランクフルトのStädelschuleに通い、トーマス・バイルレのクラスに所属。また同時期に、マーティン・キッペンベルガーのアシスタントを務めた。2018年、ベルリン芸術大学の絵画科の教授に任命。作品は、テート・モダン(イギリス)、The Federal Collection of Contemporary Art[Bundeskunstsammlung](ドイツ)、オクラホマ・シティ美術館(アメリカ)、バレンシア現代芸術院IVAM(スペイン)、M+ Museum(香港)などの主要なコレクションに収蔵されている。

 ハインツマンは過去25年間にわたり、合板、発泡スチロール、マニキュア、樹脂、顔料、毛皮、生綿、磁器、アルミニウム、ヘシアンクロスなどを活用して制作を行い、自身の実践における新しい道筋と独自の視覚言語の発展に取り組んできた。その作品の中心的な思想のひとつは、主要な歴史的瞬間を視野に入れながら、西洋の伝統を再訪すること。それは、世界を示し表す優れた媒体としてのペインティング、そして、その手段に回帰するという偉業を成し遂げた後に、抽象性を打ち破り、形状、色彩、質感、表面の力強い相互作用が起きる場としてのペインティングを創造することである。

 本展では、ハインツマンがこれまでに制作してきた、顔料を用いたペインティング《Tacmo》《Aicmo》、ガラスを用いたポリスチレン・ペインティングなどの多様なシリーズの構成要素を、新たなかたちで組み合わせて紹介している。

 メインルームは、光や速さ、構図や色への繊細なアプローチが特徴の作品群で構成。それぞれに独立した作品を、今回はリズミカルな流れで展示することで、まるで人が現れては消えていく風景のようなイメージを引き出している。

 またギャラリーの中央には、磨かれた美しさを持つ表現と繊細なニュアンスの広がる作品群を展示。隣接する空間では対照的に、力強くむきだしの身体性を有した作品が並ぶ。