EXHIBITIONS

深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢」

2021.03.12 - 04.18

深堀隆介 金魚酒 命名 出雲なん 2019

深堀隆介 方舟 2009

深堀隆介 百済 2004

深堀隆介 大渦 2010

深堀隆介 三ツ柑 2012

深堀隆介 初出荷 出目金 2009

 金魚に魅せられた現代美術家・深堀隆介の展覧会「金魚鉢、地球鉢」が長崎県美術館で開催される。

 深堀は1973年愛知県生まれ。95年愛知県立芸術大学美術学部デザイン・工芸専攻学科卒業。99年に名古屋のディスプレイ会社を退職し、アーティスト活動を開始。2000年制作に行き詰まり作家を辞めようとした時、部屋の1匹の金魚を見て開眼し、金魚の作品をつくり始める。02年、水に見立てた透明樹脂に直接、金魚の絵を描く新しい絵画技法「滅面積層絵画(2.5Dペインティング)」を考案。07年には横浜市に「金魚養画場」を開設する。

 09年頃からドイツ、イギリス、香港、ニューヨークのギャラリーで個展を開催。18年に自身初の公立美術館での回顧展「平成しんちう屋」を開催し、平塚市美術館、刈谷市美術館など全国を巡回した。

 深堀が考案した「2.5Dペインティング」は、金魚のヒレの薄さやウロコの透明感、水の流れまでも感じさせる超絶技巧。透明樹脂にアクリル絵具で金魚を断面的に描き、何層も重ねることで本物のような姿をつくり出す。絵画でありながら圧倒的な立体感を生む斬新な手法は、世界的にも高い評価を得ている。

 本展は新作を含む約300点を展示し、金魚の優雅さと躍動感、不思議な美しさに満ちた世界を展覧。縁日の屋台をモデルに、新しい金魚観に挑戦した新作インスタレーション《僕の金魚園》が展示される。

 長崎会場での特設コーナー「東日本大震災から10年 ~津波と金魚~」では、津波の犠牲になった幼い命のために深堀が作品を制作するドキュメント映像と作品パネルで、遺族に寄り添ってきた深堀の活動を紹介する。

 本展は、長崎会場終了後、岩手、高知、神戸に巡回予定。