EXHIBITIONS

黒田大スケ「未然のライシテ、どげざの目線」

2021.02.20 - 04.04

黒田大スケ カメラオブスタチュー 撮影の様子 2020

黒田大スケ どげざのためのプラクティス 2020

 京都芸術センターとアーティストが共同企画する「Co-program」の今年度は、黒田大スケの個展「未然のライシテ、どげざの目線」を開催する。

 黒田は1982年京都府生まれ。2013年に広島市立大学大学院総合造形芸術専攻(彫刻)を修了し、橋本平八《石に就て》の研究で博士号取得。2019年文化庁新進芸術家海外研修制度で渡米。帰国後は関西を中心に活動し、歴史、環境、身体の間にある「幽霊」のように目に見えないが認識されているものをテーマに作品を制作を行う。これまでの展覧会に、「本のキリヌキ」(瑞雲庵、京都、2020)、「ギャラリートラック」(京都市街地、2020)など。

 本展は、京都市内の公共彫刻の霊性を実験的・芸術的アプローチによって視覚化し、取り出そうとする黒田の試みを紹介する。

 黒田は2017年に韓国・仁川の自由公園でマッカーサーの銅像を見て以来、自身の制作の基礎となっている「彫刻」について省みるようになり、1930年代の東京美術学校彫刻科への留学生に関するリサーチと制作をスタート。近代的な彫刻概念を明らかにすることに取り組んできた。

 本展では、銅像そのものや銅像の下敷きになった者の視線を取り出すために、銅像の身体をカメラに見立てた《カメラオブスタチュー》を構想。京都の街の風景を撮影や、イタコののように自身の身体から「彫刻」を取り除こうとするパフォーマンスなど、ユニークな手法で制作された作品を発表する。

 本展を通して、近代以降の「彫刻」のあまり省みられなかった歴史をひも解き、その成り立ちと像の持つ意味について再考し、これからの彫刻表現のあり方や芸術と公共の関係性について考えていく場をつくり出すことを目指す。

※本展は京都市内に設置されている近代公共彫刻の持つ視線や視点を探るもの。本展タイトルは高山彦九郎皇居望拝之像が通称「土下座像」と親しまれていることにちなむ。正式な像の作品名や像が設置された社会背景などが広く知られないままあることをテーマにしているため、あえて通称をタイトルに用いている。