EXHIBITIONS

多摩美の版画、50年

2021.01.06 - 02.14

加納光於 開け、遮るものよ Ⅴ 1991-1992 ギャルリー東京ユマニテ蔵

横尾忠則 腰巻お仙 1966 多摩美術大学アートアーカイヴセンター蔵

関根伸夫 石をつる 1975 埼玉県立近代美術館蔵

辰野登恵子 WORK76-D-5 1970 埼玉県立近代美術館蔵

李禹煥 都市の記憶より4 1989 多摩美術大学美術館蔵

若林 奮 UNDERWOOD-3 1989 個人蔵

高松次郎 英語の文字 1970 Yumiko Chiba Associates蔵

吉田克朗 Work "9"  1970 Yumiko Chiba Associates蔵

しりあがり寿 ちょっと可笑しなほぼ三十六景 太陽から見た地球 2017 個人蔵

 多摩美術大学の版画専攻開設50年を記念した展覧会「多摩美の版画、50年」が開催される。

 多摩美術大学における版画教育は、版画家・駒井哲郎と吹田文明に先導され、絵画科油画専攻に設置された版画教室から始まった。その後、油画専攻から独立した版画専攻が開設。当時、版画は絵画とは別の可能性をもつ表現として注目される時代でもあった。

 キャンバスなどに直接的に描く、一点ものの絵画に対して、版画は、版を制作し、それを印刷する間接的で、複数的なメディアの特質をもつ。とくに日本では、浮世絵などの歴史的な遺産を背景にしながら、国際的に高い評価を得てきた。多摩美術大学は、その評価の中心となる版画家たちを数多く輩出し、日本の版画教育研究をリードする先鋭的な拠点として位置し続けている。

 他方、版画はオーソドックスな表現にとどまらず、時代の変遷とともに新しいメディアとつながり、写真やデジタル、彫刻、デザインなど、多彩なメディアやジャンルへと領域横断的な拡がりを見せてきた。

 同大学においても版画教室出身者だけでなく、絵画学科教員であった画家の加納光於や辰野登恵子らをはじめ、現代美術、グラフィックデザインを専門とする教員、また卒業生の多くが版画制作に精力的に取り組み、優れた作品を世に送り出している。

 本展では、多摩美術大学の教育研究にかかわり、ゆかりのある作家やデザイナーの版画作品を、「版画のコア」「版画と絵画」「版画と写真」「版画ともの派」「版画と現代美術」「版画とデザイン」の6つのテーマに分類して展示。

 これらの各テーマを通じて、日本における版画の多様な拡がり、そして多摩美術大学がそこにどのようにかかわってきたかを概観しながら、版画が本来もっている豊かさとは何かを浮き彫りにする。