EXHIBITIONS

トライアローグ

横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館 20世紀西洋美術コレクション

2020.11.14 - 2021.02.28

ルネ・マグリット 王様の美術館 1966 横浜美術館蔵

パウル・クレー 女の館 1921 愛知県美術館蔵

ゲルハルト・リヒター オランジェリー 1982 富山県美術館蔵 © Gerhard Richter 2020(16062020)

 日本の各地方を代表する3つの大型公立美術館、横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館の各館が誇る西洋美術コレクションが集結。パブロ・ピカソ、パウル・クレー、ルネ・マグリット、ゲルハルト・リヒターらの作品約120点により、表現手法と概念の刷新が繰り返された20世紀の西洋美術の足跡をたどる。

 展覧会タイトルにある「トライアローグ」は、3者による話し合い(鼎談・ていだん)を意味する言葉。公立美術館3館が共同企画する本展は、各館の学芸員が長い時間をかけ話し合いを重ねることで、それぞれのコレクションを有機的に接続し、欧米の20世紀美術を概観するためのラインアップが紡ぎ上げられた。「トライアローグ」にちなみ、本展では「3」という数字をキーワードとして、展示構成を「3章立て」「30年区切り」で出品作を展開する。

 第1章「1900sーー アートの地殻変動」では、世紀初頭に興ったキュビスム、フォーヴィスム、表現主義を皮切りに、1910年代前半にヨーロッパで同時多発的に誕生した抽象芸術、第一次世界大戦前後に隆盛した構成主義やダダに至る、20世紀最初の30年の動向を特集。キュビスムの実験を通じて20世紀美術に多大な影響を与えたパブロ・ピカソやジョルジュ・ブラックを筆頭に、アンリ・マティス、パウル・クレーらの作品を展示する。
 
 第2章「1930sーー アートの磁場転換」では、ダダの運動の後、ヨーロッパの潮流となったシュルレアリストを含む多くの芸術家が第二次世界大戦の時期にヨーロッパからアメリカへ渡り、世界各地の芸術家、芸術運動が相互に影響し合った30年の動向を俯瞰。マックス・エルンスト、ジュアン・ミロ、ポール・デルヴォーら3館が共通して所蔵する作家の重要な作品が顔を揃え、展覧会の大きな見どころとなる。

 そして第3章「1960sーー アートの多元化」では、抽象表現主義に後続していく第二次世界大戦後の美術を紹介。ネオ・ダダ、ミニマル・アート、コンセプチュアル・アートへ、表現対象や手法が多様化し、アートの考え方そのものが無数に分岐していく世紀後半の芸術動向を振り返る。

 また「Artist in Focus」と題し、3館のコレクションに共通して含まれる作家たちにも注目。3館のコレクションが競演する本展を通じて、欧米の近現代美術の粋を堪能できるとともに、日本の美術館の西洋美術収集の軌跡と、その結果日本にもたらされた豊かな資産を知ることができる。

 なお横浜美術館は本展を最後に、大規模改修工事のため2年を超える長期休館に入る。