EXHIBITIONS

坂本龍一+YCAM InterLab インスタレーション展

Forest Symphony

常栄寺雪舟庭
2020.10.03 - 12.06

坂本龍一+YCAM InterLab Forest Symphony 2020 撮影:山中慎太郎(Qsyum!) 画像提供=YCAM

 音楽家の坂本龍一が、2013年に山口情報芸術センター[YCAM]で制作・発表したインスタレーション作品《Forest Symphony》を展示する展覧会。山口県央連携都市圏域が主催する「山口ゆめ回廊博覧会」の一環として開催されている。

《Forest Symphony》は、樹木が発する微弱な生体電位をもとに生成したサウンドを用いたインスタレーション。坂本は東日本大震災以降、「人類が生きる環境」を支える森林へと意識を向けるべく、樹木が発する微弱な生体電位をもとに楽曲を制作するというプロジェクトを構想していた。

 YCAMに附属する研究開発チーム「YCAM InterLab」では、この構想のために、樹木が発する生体電位だけでなく、樹木の周りの環境の変化が樹木の生体電位に与える影響までもを考慮するための温度や湿度、照度、気圧を計測するためのデバイスを開発。世界各地のアートセンターや研究機関にデータ収集を呼びかけ、13年の山口情報芸術センター[YCAM]での展覧会では、世界各地の樹木の生体電位と周囲の環境データが日々インターネットを利用して会場へ送信されるという試みを行った。

 今回の会場となるのは、室町時代に武将・守護大名の大内政弘の別邸として建てられた「常栄寺」。本展では、13年の展示時に集められたデータをもとに、雪舟が築庭したと伝えられる常栄寺の雪舟庭の空間に合わせてアップデートした《Forest Symphony》を展示している。

 坂本のディレクションによって構築されたアルゴリズムを通して、13年当時に集められたデータが音楽へと変換され、会場で奏でられる。また、センサーデバイスが設置された環境の情報をビジュアライズした映像が、会場を包み込むサウンドスケープと統合され、季節や天候に応じて変化を続ける「森のような空間」が出現する。