EXHIBITIONS
MOTアニュアル2020 透明な力たち
「MOTアニュアル」は若手作家の作品を中心に、現代美術の一側面を切り取り、問いかけや議論のはじまりを引き出すグループ展。16回目となる本展では、人や物を動かしている自然界や社会のなかの不可視の力の作用に着目し、そのメカニズムを再構築しようと試みる5組のアーティスト、片岡純也+岩竹理恵、清水陽子、中島佑太、Goh Uozumi、久保ガエタンを紹介する。
片岡純也+岩竹理恵(ともに1982年生まれ)は2人組のアートユニット。2013年パリでのレジデンスをきっかけに活動を開始。電球や食器や本などの日用品に、重力、風力、磁力などの物理的エネルギーを加え、本来の役割とは異なる動きを見せるキネティックな作品を制作。また、切手や博物辞典など多様な素材から切り抜いた断片を組み合わせてできた繊細なコラージュ作品からなるインスタレーションを展開している。
清水陽子は1977年生まれ。自然、生命、宇宙のメカニズムをテーマに、微生物、細胞、DNA、有機物などのミクロの世界をはじめ、植物、自然、地球全体におけるマクロの現象まで、その美しさを可視化する作品の制作を行う。代表作に、微生物がコロニーを形成し、カラフルな培地で美しく成長・繁栄・衰退を繰り返す《Cycles of Life》、光合成によって葉に高解像度のグラフィックプリントを行う《Photosynthegraph》などがある。
中島佑太は1985年生まれ。人々が持っている「当たり前」を日常とは異なる視点から問い直し、ワークショップや遊び的な活動を通じてその再構築・書き換えを試みる。「1人でやらない、みんなでもやらない」という作家のモットーが示すように、予測不可能要素を受け入れるプロジェクトは一見ゆるさを持っているが、家庭内ルールから公共のあり方、社会的分断などの題材を内包し、ルールやタブーといった身の回りのテーマに切り込む。
Goh Uozumiはアートとテクノロジーの領域で活動するアーティスト。三上晴子のもとでメディア・アートを学び、自律分散組織、プログラマブル・マネー、機械学習、監視社会、クリエイティヴ・コーディングなどの「文明における自動化の動向」を考察する作品を発表している。近作には、人工知能が自らのための国家をつくる《空の国家》、新秩序の起源として暗号通貨や分散台帳を描く《NewOrder / SirenCall?》などがある。
久保ガエタンは1988年生まれ。超常現象や自然科学的に知覚できないもの、精神分析や社会科学のなかの見えない関係性を「オカルト(隠された存在)」と総称し、独自の装置を通して考察を続ける。合理的社会のなかで抑圧された無意識の欲望や不安が噴出し人々を動かす瞬間を、回転、破裂、振動などの激しい運動エネルギーを伴う装置と、淡々とした作家のナラティブによって再現し、鑑賞者の身体感覚に強く訴えかける。
本展では、物事を動かし変化させるメカニズムを咀嚼し直し、自分の手で、あるいは誰かと協働して、再構築する5組とともに、私たちを取り巻く「透明な力」について考察。繊細な手作業のコラージュ作品から生物工学を取り入れたバイオアート、プロトコルを考察するソフトウェアアートまで、それぞれのユニークな実践のなかで可視化された「透明な力」は、鑑賞者の感覚を揺さぶり、見慣れた風景を再考するきっかけとなるだろう。
片岡純也+岩竹理恵(ともに1982年生まれ)は2人組のアートユニット。2013年パリでのレジデンスをきっかけに活動を開始。電球や食器や本などの日用品に、重力、風力、磁力などの物理的エネルギーを加え、本来の役割とは異なる動きを見せるキネティックな作品を制作。また、切手や博物辞典など多様な素材から切り抜いた断片を組み合わせてできた繊細なコラージュ作品からなるインスタレーションを展開している。
清水陽子は1977年生まれ。自然、生命、宇宙のメカニズムをテーマに、微生物、細胞、DNA、有機物などのミクロの世界をはじめ、植物、自然、地球全体におけるマクロの現象まで、その美しさを可視化する作品の制作を行う。代表作に、微生物がコロニーを形成し、カラフルな培地で美しく成長・繁栄・衰退を繰り返す《Cycles of Life》、光合成によって葉に高解像度のグラフィックプリントを行う《Photosynthegraph》などがある。
中島佑太は1985年生まれ。人々が持っている「当たり前」を日常とは異なる視点から問い直し、ワークショップや遊び的な活動を通じてその再構築・書き換えを試みる。「1人でやらない、みんなでもやらない」という作家のモットーが示すように、予測不可能要素を受け入れるプロジェクトは一見ゆるさを持っているが、家庭内ルールから公共のあり方、社会的分断などの題材を内包し、ルールやタブーといった身の回りのテーマに切り込む。
Goh Uozumiはアートとテクノロジーの領域で活動するアーティスト。三上晴子のもとでメディア・アートを学び、自律分散組織、プログラマブル・マネー、機械学習、監視社会、クリエイティヴ・コーディングなどの「文明における自動化の動向」を考察する作品を発表している。近作には、人工知能が自らのための国家をつくる《空の国家》、新秩序の起源として暗号通貨や分散台帳を描く《NewOrder / SirenCall?》などがある。
久保ガエタンは1988年生まれ。超常現象や自然科学的に知覚できないもの、精神分析や社会科学のなかの見えない関係性を「オカルト(隠された存在)」と総称し、独自の装置を通して考察を続ける。合理的社会のなかで抑圧された無意識の欲望や不安が噴出し人々を動かす瞬間を、回転、破裂、振動などの激しい運動エネルギーを伴う装置と、淡々とした作家のナラティブによって再現し、鑑賞者の身体感覚に強く訴えかける。
本展では、物事を動かし変化させるメカニズムを咀嚼し直し、自分の手で、あるいは誰かと協働して、再構築する5組とともに、私たちを取り巻く「透明な力」について考察。繊細な手作業のコラージュ作品から生物工学を取り入れたバイオアート、プロトコルを考察するソフトウェアアートまで、それぞれのユニークな実践のなかで可視化された「透明な力」は、鑑賞者の感覚を揺さぶり、見慣れた風景を再考するきっかけとなるだろう。