EXHIBITIONS

10周年記念展 Decade vol.3

上出惠悟「0years」

2020.10.21 - 11.15

上出惠悟「0years」より

 Yoshimi Artsは開廊10周年記念展の第3弾として、上出惠悟(上出⻑右衛門窯)の個展「0years」を開催する。

 上出は1981年石川県生まれ。九谷焼の窯元・上出⻑右衛門窯の6代目にあたる。Yoshimi Artsでは「幽谷」(2011)、「游谷」(2013)、「硯海の貝」(2014)までの個展や、2013年の「楽園創造(パラダイス)-芸術と日常の新地平- vol.3 上出惠悟」(gallery αM)において、自身の出自である九谷焼にまつわるものを俯瞰的にとらえ、東洋で始まった磁器の歴史を舞台にしながら、神話的とも言える手法で磁器がもつ時間と場所について考察した。

 その後、「山の熊か、熊の山か」(松坂屋名古屋店 美術画廊、2015)、「熊居樹孔」(Yoshimi Arts、2016)、「わすればなん」(東京日本橋髙島屋 美術画廊X、2017)、「磁彫展」(横浜髙島屋 美術画廊、2018/松坂屋名古屋店 美術画廊、2019)といった4年間の個展を通して、自身が置かれている環境や思いを熊と重ね合わせてきた。また東京藝術大学の卒展以来つくり続けてきた甘蕉(バナナ)の作品から離れ、近年は幼少期に学んだ彫刻の手法と磁器の素材を組み合わせながら、一心に自身と向き合って記憶という心の深い部分にふれることを試みる。

 そして2019年の「第14回パラミタ陶芸大賞展」(パラミタミュージアム)や個展「静物/Still Life」(Yoshimi Arts)では、より彫刻としての磁器という考えを発展させ、「上出長右衛門窯」の製品をモチーフに無垢の作品を手がけている。

 本展では、近年向き合った幼少期よりも根源的なところへの思いと、ドローイングをもとに彫刻的な手法でかたちを探るように制作した作品、自らの作品づくりの原点である甘蕉(バナナ)、磁器以外の油彩や木などを素材とした新作群を展開する。